七年間書き溜めた努力のノートを、
燃やされた。
あの瞬間、騎士になる夢を、少年は諦めた。
魔法が使えない。
実力がない。
親友だと思っていた幼馴染には、蔑まれ、捨てられた。
もう、道などなかったはずだった。
けれど。
ある日突然、少年の手元に届いた入学許可証は、
最難関の紅煌騎士学校への合格を告げていた。
受験した覚えもない。出願すらしていない。
だが、間違いであっても、その扉は開いていた。
これはきっと――神様がくれた、最後のチャンス。
入学初日、暴走する魔力。
劣等生と蔑まれる中、次第に明かされていく彼だけの力。
炎と氷の天才たちとの確執。
支え合う仲間との絆。
名門騎士学校を舞台に、少年は「過去の自分」に決別を告げる。
これは、落ちこぼれと呼ばれた少年が、
仲間とともに運命へ挑む、壮大な物語。
いつからでしょう、ファンタジーが口先だけライトで、ぽっと出のチートギフトに頼ったパワープレイで楽な方へ楽な方へと流れていき、おっさんおばさんの妄想の垂れ流しに成り果てたのは。
この作品は、そんな三文芝居のテンプレに反抗する、正統派の王道ファンタジーです。
流行テンプレと王道は、どちらも先人の功績ある作風を拝借するという手法ですが、似てるようで全く異なります。
むしろ、王道を王道として作成するのは、それなりに難しいものです。
もう一度古き良きファンタジーの「あの頃」を蘇らせる、そんな気概さえ感じる作品です。
第一話、かなり内容詰め込まれて長いですが、ひとまずそこを読み進めてください。
そこを読んでから判断しても遅くはないはずです。
かつて戦士を目指していたが諦めた主人公が、受験してもいない戦士学校に何故か合格したことになっていて──という導入から始まる本作品は、ハリー・ポッターや指輪物語などといった大作ファンタジーに通ずる空気を纏っている
特別な才能を持ち、特別な立場に立たされるが、ただそれだけで最強になるわけではない
当たり前にそうなってしまうテンプレ展開こそが、よくよく考えてみれば歪である
本作品は、展開的にはテンプレをかすめるが、すぐにテンプレを否定して独自の物語を展開していくため、先を読むことができない
常に新鮮な読書体験が待っているので、飽きないのだ
骨太な王道ファンタジーをお求めの方は、是非一読を
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