そこ、わたくしの場所でしてよ!
しかも、体を寝かした状態のまま、ダイビングした勢いだけで、無造作にボールを投げる。
それが低い送球になり、ワンバウンドでファーストに届きそうだった。
無論俺は、頭からベースに飛び込む。
「アウッ!!」
1塁審判おじさんの右腕が力強く振られる。
俺はそれを見て、新体操の選手のような軽やかさで立ち上がる。
「ノー、ノー、ノー!!セイフ、セイフ!!チャレンジ、チャレンジプリーズ!!」
俺が上のユニフォームを捲り上げて顔を覆い隠しながら、辺りをぴょんぴょんと飛びはねながら、躍動感溢れるアピールで、スタンドからは笑いが起きていた。
すると、庭先ではしゃいで転んだ甥っ子でも面白がるような表情で出てきたロレンス監督が迷わずにチャレンジ要求。
土にまみれたベリーナイスフェイスのドアップが写し出されている。
「シャーロットチャレンジです。クックさん、タイミングはいかがでしょうか」
「送球がワンバウンドした分、微妙になりましたね。タイミングに関しては……思っていたよりセーフッぽいですよ。
アライのヘッドスライディングした手がベースに着いた瞬間は、まだグラブの中でボールを掴みきっていないように見えますね」
「なるほど。さあ、審判団がヘッドフォンを外します。……セーフです!セーフ!判定が覆ります!内野安打になりました!」
よしよしよし。
これは素晴らしい判定。セーフに覆りきる微妙でしたから、マジでデカイ。
これで猛打賞。
そしてバーンズ。
微妙な当たりのサードゴロだった。
平柳君、突っ込む。バックホーム。
平柳君挟まれる。俺は猛然と走る。
平柳君、粘る。俺、3塁ベースという名の安全地帯に到着する。
戻ってきた
平柳君に安全地帯を奪われる。今度は俺が挟まれる。
俺、粘る。相手、重なり、ごちゃごちゃっとして、ボールどっかいく。
平柳君、俺、相次いで生還する。
「「しゃああああっ!!」」
ホームベースを駆け抜けた後、俺と平柳君はこれ見よがしにハイタッチをし、ベンチに戻る。
相手チームの監督は、一体何をしているんだとご立腹。
グラウンド上では、ベース際で重なってグラブを出してしまった片方の選手が頭を抱えていた。
ズガンッ!!
気落ちしたピッチャーのボールをひと振り。真ん中に入った変化球を見事に叩いた。
クリスタンテの完璧な打球は高い放物線を描いてレフトスタンドの上段へ、33号2ラン。
さらに下位打線もしぶとく繋いで追加点。
試合後半は、トンプソン、イェーガー、キースランドの磐石勝ちパで1人のランナーも許さず。
女子サッカー日本代表の面々の前で、シャーロットが連敗を止める快勝で、同率ではありながら、再び地区1位に返り咲いたのだった。
カキッ!!
「上手く合わせた!!ライトの右だ!落ちました!!満塁からアライが打ちました!3塁ランナーに続いて、2塁からロンギーも回ってきます!!
バックホーム間に合いません!!同点!7回に、シャーロットが見事な集中打!同点に追い付きました!新井はこれが今シーズン60打点目ということになりました!これは新井らしい右打ちが炸裂しましたね、クックさん」
「ええ。インコースや高めをしつこく攻められましたけど、最後は外のボールを投げさせましたよね。ボールを打った時に、後ろの肘がおへそにくっつくような腕の使い方をしているんですよ。
この打ち方が出来ると、バットは最短距離で出てきているんですが、しっかりヘッドが立っているんで、球威に負けないんですね」
「なるほど!新井はこのヒットで、今シーズン、194本目のヒット。今月で見ますと、あと3試合のところで、45本目のヒットになりました。打率も4割0分9厘。また4割1分台というのが見えてきています!」
「あははっ!!すごいですね。わたしは17年メジャー、シャーロット一筋でしたけど、打率は3割ちょうどが2回あっただけです。10年若く生まれて一緒にやれていたら、ヒットを重ねるコツを教えてもらいたかったですよ」
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