守護神現る。

「バティセカン!ピッチャー……ナンバーフォー!トキヒトゥ、アーライ!!」



「「フォー!!」」



見事な敗戦処理を決め、いつもより2割増しの歓声をもらって、俺はバッターボックスに入る。



ピッチャーは、マイナーから上がったばかりの有望株。その初球。真ん中低めの速い球。



おっつけた。



カシンと打球音が響いてワンバン、ツーバンでライト前ヒット。




バーンズも同じような打球で続いた。




4番クリスタンテ。




カキッ!!



ヒューン……。




バゴン!!



左中間フェンス直撃の1打でシャーロットがようやく1点を返した。



5番アンドリュースは、早く追い込まれるも粘りを見せ、フォアボール。



ノーアウト満塁。



6番ブラッドリーの打球は、ハーフライナーとなって左中間に落ちた。これをレフトがジャックルし、2者生還で5点差。



7番ヒックスがショートの右を破るタイムリーで、6者連続ヒットの4点差となった。




そして、ピッチャーが代わる。



コーチに宥められるようにしながら背の高い若者が下がり、守護神のアラワル登場。



4点差でランナー2人ですから。



セーブシチュエーションというやつになりましたので、流石に流れを止めなければまずいと。



バッターは8番のヘスミリス。パンチ力のあるのバッティングが持ち味である左バッターの彼だったが、まだメジャーでヒットはなかった。



ビシュッ!!


ブンッ!


バシィ!


「ストラックアウッ!!」



積極的にスイングしていったが、残念ながら三振に倒れた。



そして、9番ザム君。



デッドボールになりそうなボールを見逃し、最後はアウトコースのボールを引っかけでしまった。



ショート正面のダブルプレーコース。



6ー4ー3と渡って、最後1塁は際どくなった。



「アウト!!」



1塁審判おじさんが右腕を振るうと、同じタイミングでセーフとジェスチャーしたコーチおじさんがベンチにアピール。



チェンジだと安堵した相手選手達はその場から引き上げようとするが……。ロレンス監督がグラウンドに出てチャレンジ要求となった。



4人の審判がバックネットの1角に集まり、ヘッドフォンをしてモニターを見つめる。



バックスクリーンにもそのリプレイが流される。


文句無しのダブルプレーコースもセカンドの選手が一瞬ボールを握り直した影響で送球が遅れていた。



ザム君も1塁まで全力疾走。シャーロット側の人間だからか、ほんの少しザム君の足がベースを踏む方が早く感じてしまった。



審判達が解散しながら、その中の1人が1塁ベースを指差し………。



「セーフ!!」






判定が覆った。






そして、平柳君。




「打ちました!!センターの前!!落ちるか!?飛び込む!!……捕れません、捕れません!!またヒットになりました!!ヘスミリスが還りまして、これで3点差!!2アウトですがまた1、2塁となりました!!さあ、もう分かりません!」



ナイス!!100マイルのボールに詰まらせられながらも、センター前へしぶとく落とした。


よしよしといった表情で、平柳君が小さく拍手をしながら、俺に向かってガッツポーズを見せた。



打者1巡でわたくし。



8点差が3点差となり、ランナーが2人。つまり、ホームランが出ればたちまち同点ということになる。



向こうチームとしては、ザムのダブルプレーで流れが切れたかなというところで判定が変わり、打ち取った打球がセンターの前に落ちてしまった。



再びピッチングコーチがマウンドに向かい、間を取る。



そして試合が再開される。


マウンド上のクローザーは、100マイルのファストボールにスプリットとスライダーを持ち球としている。


がしかし。スライダーをあわやデッドボールというのがあったので、少し自重した配球だった。


今マウンドにいるクローザーは、ヘス君、ザム君、平柳君と3人続けて左バッターとの対戦であった。



俺はどちらかといえば、下は左寄りとはいえ、野球人としては右バッター。初球に改めて1番の得意球スライダーの具合と確かめる予想はついていた。



その予想通り、初球は91マイルのスライダー。ストライクゾーンのギリギリのところからボールゾーンに曲がるお手本のようなボールだった。



捕球したキャッチャーがオッケイ、オッケイと頷きながらボールを返した。




「初球スライダーが外れて1ボールです。クックさん、アライに対して変化球から入ってきましたね。変化球を打つのがものすごく得意なバッターですが……」






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