ついにこの瞬間が来ちまいましたわ!
振った瞬間、キャッチャーとしては、しめたっ!と、思ったかもしれないが、打球は長打コース。
ややライン際を空けている守備体形だったとはいえ、打球は1番抜けて欲しくないところを抜けていってしまった。
同じようなボールを打ったヒットだったが、やり方がまるで違う。
俺はピッチャーによって、それぞれのタイプに合わせた攻撃でちょこちょこやってダメージを与えているのに対し、バーンズは圧倒的な攻撃力で全てをねじ伏せ粉砕するようなバッティング。
その1打で2、3塁となり、クリスタンテも詰まらされたが右中間の真ん中に落ちる2点タイムリーとなった。
2打席目。ピッチャーリベンジの機会で俺はまたシンカーを打った。アウトコースをしっかり引き付けてのライト前。
バーンズも遅い方を引き付けて打ち返し、フェンスダイレクトで俺が3点目のホームを踏んだ。
試合は、シャーロットペース。先発のウェブはこの3点で今日は十分だったみたい。
ピッチャーが代わった3打席目も、俺は入りの真っ直ぐを叩いてライト線に落とすことに成功。
バーンズも高めのボールを打って、センターへクリーンヒットを放っていた。
4打席目は、打ち損じが無人の3塁線に転がるラッキーヒットで8打数連続。バーンズのセンターへの450フィート級のホームランでダメ押しのホームを踏んだ。
「トキ、今日もステーキだぜ!!」
「シャアアァッ!!」
前の日ステーキで4の4なら、今日もステーキでしょ!!
バスに乗り込む前から、バーンズの目は俺にそう訴え掛けていた。
同じ店で、同じステーキセット。昨日はちょっと注文の仕方がイマイチ分からず、ガーリックソースだけでしたから、今日はシャリアピンソースも別で頼んだ。
アチアチの鉄板にジュージューステーキ。引きちぎるように食らい、翌日もバットを振る。
2試合で8本もヒットを打っているわけですから、相手のマークも厳しくなり、1打席目の投球がいきなり俺の腕に当たった。
アームガードがある場所だったので、深刻な痛みにはならず。バッターボックス中でゆっくりとフットガードとバッティンググローブも外して1塁に向かって走り出した。
速いボールでしたけど、よくボールが見えていますから、脅威や恐怖には感じませんでしたわね。
なんとなくそうなってもおかしくないんじゃないかという気もしてましたし。
そして同じく2試合で8打数8安打のバーンズ。
1ストライクからの2球目。投球が足元にいった。
ボールに反応して、両足を引くようにして避けいったがボールが地面で不自然に跳ねる。
つま先に当たった。
痛いだろうが、バーンズはバットを地面に投げ捨てるようにして、ゆっくりと前に向き直し、鋭い眼光でピッチャーを睨み付けていた。
その瞬間には、バーンズの側まで走っていきましたからね。わたくしは。
彼の立派な胸筋にそっと手を置きながら、まあまあまあと、宥めるようにして間に入る。
ピッチャーは逆上するわけでもなく、早く1塁に行けよとでも言いたげな表情で、少し3塁側の方にずれながら新しいボールを受け取っていた。
「2者連続のデッドボールということになってしまいました。バーンズは少し怒りを見せましたが、アライとクリスタンテが落ち着かせています」
「2試合、アライとバーンズ2人だけで16本もヒットを打たれてしまっていますからね。厳しくいきたいのは分かりますが……」
「狙ったわけではないでしょうが、出塁を防ぐピッチングをしなければいけないのに、デッドボールにしては意味はありません。バーンズも1塁に歩きまして、バッターはクリスタンテです」
初回からちょっと怪しげな雰囲気。乱闘になってもおかしくない状況であったが、シャーロット側が冷静な感じであったため、大事にはならず。
続くクリスタンテはライトフライ。5番アンドリュースは三振に倒れて、得点にはならず。
しかし、第2打席目に、その事は起きてしまった。
3回、先頭。
平柳君がライトへ見事なヒットを放ち、出塁。
続く俺は水戸納豆モードになっていた。
追い込まれてから、ファウルの連続。
インコースのボールになんとか反応し、アウトコースのボールにも食らい付く。フルカウントになってから4球目。トータル11球目というところで、手元の狂った変化球の抜け球が俺の背中に直撃。
スタジアムは大きなブーイングに包まれた。
まあね。初回は速いボールだったけど、今回は明らかな投げミス。もちろん痛いが緩いボールでしたから、そんなたいしたことはない。
俺は一切のリアクションなどせずに、スタスタと1塁に向かって歩いていった。
そしてバーンズ。
ボゴォッ!!
投球がバーンズの逞しい左足に直撃。
両チームが激しく入り乱れるに十分なとどめとなった。
ヘルメットをぶん投げて、いわゆるツーブロックなカッチョいい髪型を披露しながら、バーンズがピッチャーに詰め寄る。
キャッチャーがそれを制しようとするが止められず、球審が間に入る余裕もなく、両方のベンチから飛び出してきた選手達が、バーンズを中心にして、次々に取っ組み合いになる。
1番早く走ってやってきたセカンドの選手がバーンズに殴り掛かり、クリスタンテがそのセカンドを後ろから抱えて地面にぶん投げる。
今度はクリスタンテがセントルイスの別選手に突き飛ばされ、1番のスキンヘッドであるブラッドリーが、クラッカータックルを決める。
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