厚みが違いますわね!

そう聞かれたフレッグリンは、おケツのポッケからガムの包み紙を取り出した。



いわゆる板ガム。薄い赤色の包みである。



「これです。何の味か分からないですが、ちょっと酸っぱいガムです。日本のものらしいです。練習前に貰いまして……」



なんてフレッグリンが言ってしまいましたから、ダッグアウトに引き上げたところで俺のところにも取材陣が来てしまいまして。



ミスター、さっき言ってたガムって?



などと、早く持って来て教えろというムード。



別になんてことないやつ。



日本でもたまに売ってるのを見る梅ガムである。


他にも、ブルーベリーとかレモンとかストロベリーとかコーヒー味とか。昔はマンゴスチン味なんてものあった。


もちろん、アメリカの一般的なお店には売っていないのだが、韓国と日本の調味料や輸入品を取り扱っている商店に行ったら置いてありまして。



みのりん☆マンゴスチン曰く、とあるお店に置いてあるラーメンの種類がすごいという情報を手に入れて出陣した時に、お菓子売り場でたまたま見つけましてね。



値段は日本だと100円で買えますけど、こっちだと2、5ドルしましたね。






フレッグリン君がまたいいピッチングをしてくるというのなら、またごっそりとその梅ガムを買って来ようかなと、そんな塩梅でありました。




そんなフレッグリン君の快投で幕を開けた後半戦。



オールスターブレイクがいいリフレッシュになったのか、心なしかシャーロット打撃陣のバットが軽い印象。



前半戦途中くらいからの、なんとなく打線が繋がるようで繋がらないというもどかしさがようやく晴れてきたのかなと。



その打線を勢い付ける1番の存在というのが………。






「また右方向だ!!1、2塁間を破っていく!!アライにもタイムリーが出ます!!平柳は3塁に止まりました!!シャーロット、ついに勝ち越し!アライの今日3本目のヒット!!」





カキィ!!




「バーンズも右方向だ!!ファーストジャンプも捕れません!!グラブを弾いたっ!!ライトを抜けていきます!!ヒラヤナギがバットを拾いながらゆっくりホームインしまして、アライはどうだ!?


ボールはライトからカットに入ったセカンドに返されて、アライは3塁を大きく回ったところで止まりま………ああーっと!ボールがこぼれている!!


止まりかけたアライが再びスタートを切って、そのままホームイン!!ん~、どうしましたか、セカンドのリムズン」



「バックホームしようとしたんですけど、アライが止まったのが見えたので、投げるのを止めたんですよね。しかし、ボールが手から離れてしまいました。もったいないですねー」




今日からは、セントルイスとのビジター4連戦である。



ミルウォーキー、アトランタという同地区のライバルが首位のシャーロットを追いかけて来ますから、緊迫するゲーム差の中、真夏の戦いの真っ最中。



今日はいいぞ。先発が俺のタイプである技巧派左腕でしたから、しっかり2安打し、代わった右の速球派からも、きっちり右打ちが成功で、3の3。



さらに3番のバーンズも3の3で続いて勝ち越しに成功。



さらに最終打席も………。




カンッ!!



「またアライが上手く打ったぞ!!ライト前に落ちる!!打率を上げます!4割1分台に乗せてきました!もう止まりません!」



ズガシィ!!



「バーンズの打球は右中間だ!!センターが追っていきますが、捕れません!!またタイムリーになります!!アライがホームイン!!


バーンズはこれで打率を3割台に乗せ、打点も80を越えてきました!!」




2番、3番で8安打!!



これはお祭りムードになって来ましたわ!




試合が終わり、ホテルに戻ると……。




「ヘイ、アライ!ステーキに行くぜ!クロとサクも呼んでこい!」



「任せろ!」



平柳君やザム、ヒックスなども誘いステーキ専門店に乗り込む。



アメリカのステーキ専門店ですから。



もう熱気が凄いよ。



もれなく1ポンドステーキを注文し、それを食らう。





白飯があれば文句はなかったが、ステーキセットを頼めば付いてくるパンの食べ放題がナイス。



蒸し鶏がたっぷり乗ったサラダと、セロリのニンジンのスープも平らげると、翌日のシンカーがよく見えた。



投げるボールの9割がシンカーというエッジの利いたピッチャーが今日の相手だった。



それも、極めて真っ直ぐに近い93マイルの速いのと、80マイルの変化量がある2種類のシンカー。



タイミングが代わるし、それぞれのボールに対して違うアプローチをしていかなければいけないので、大変な相手だが、1打席目。



2球遅い方を見た後に、速いシンカー。しかもインコースをトーンッとセンターにライナーで返したところで、俺は今日の結末を予感した。



1番難しいシチュエーションで打てましたやん。



遅い、遅いを見せられて、1番シンカーの威力を発揮するインコース低めをドンピシャですから。



タイミングの取り方とバットの出す角度と体の使い方がベリーグッド。



そんなヒットで前日から5打数連続安打を記録すると、バーンズも3球目の速いシンカーを叩いた。



ボールの上っ面を打たせ、狙い通り内野ゴロにしたバッテリーだったが、その思惑というか結果を、バーンズの調子の良さが上回っていく。



打球はワンバン、ツーバンで3塁線。飛び付いたサードのチャレンジも何のその。



あっという間にライン際をブチ破っていったのだった。




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