なんだか嫌な予感ですわね!
というわけで焼き肉である。
探してみたら、シャーロットという都市にも、焼き肉屋さんというものがありましてね。
一応あるんですよ、お肉を自分で焼いて食べる店舗型のバーベキュー屋さんみたいなものは。
でも、1度覗いた店はプレート毎の注文で、ステーキみたいなサイズのお肉で来ちゃいますし、焼き肉屋さんみたいに色んな細々した部位で頼めないし、白飯もなかった。
しかし今回見つけたお店は、日本人の方が経営してまして、店の外観から内装から方式からメニューまで全部日本式。
もちろんお高いはお高いのですが、1皿の金額は高くても、量が多いですから。
特にタン辺りは18ドルで上質な美味しいやつが15枚くらい乗ったのが来ますから、むしろ割安だったりする。
後は内臓系もお得。
こっちの人は日本に比べると、好んで食べる人は少ないみたいで。
平柳君の奥様は内臓大好きアナウンサーだったらしく、唇をビッカビカにしながら大層喜んでおられた。
料金をちょっと追加したら、個室にも入れますので、小さい子供が居ても多少は安心。
お客さんの7割はアジア圏だったが、中には落ち着いて食べられるからと、地元の団体さんの姿も。
同じように、お座敷で座布団を使い、胡座をかいて、ジューシーに焼いたお肉サンチュで包んで頬張っていたりしていたようだった。
そんなお店でパワーを充填した翌日。
シャーロットスタジアムは異様な雰囲気に包まれていた。
メジャー初先発、フレッグリン、7回無安打無得点投球継続中。
さすがに初回は堅さがあったのか、コントロールを乱してフォアボールを2つ与えてしまっていた。
その直後、平柳君の好プレーから生まれたダブルプレーでピンチを乗り切ると、一気に流れに乗った印象だ。
力のあるファストボールに、武器はなんといっても落差のあるパームボール。ブレーキの利き具合とコントロールもよく、相手バッターを翻弄していた。
翻弄していたという意味では俺たちもそう。
フレッグリンの思い切りのいいピッチングでイニングアウトしていく度に、ざわついているのは、負けじとシャーロット打線も無安打無得点に抑え込まれているからである。
最下位のデトロイトだからと、油断していたわけではないが、普通にやれば大丈夫でしょうと思っていたら、向こうの先発右腕の出来がいいの何の。
サイドハンドから繰り出すボールの質が素晴らしい。変化量の大きいスライダーだけならなんとかなりそうだけど、スピードを増したカットボールとシンカーも組み合わせて来るから厄介。
本当に前半戦が4勝10敗のピッチャーだったのかと疑いたくなるほどだった。
7回裏。
打順は1番の平柳君から。
なんとかしてくれい!そういう気持ちで輪っかから見ていた。
球数は90球になろうとするところだが、左バッターの膝元に食い込ませるボールというのは本当に有効ですわね。
神沢もよくそのボールを使いますけど、上手く意識づけをすることで、そのボールなら少々ズレたゾーンにいってしまっても痛打される心配がない。
もちろん、序盤からきっちり投げきれればという条件は付くものの、左バッター殺しといえば、これとアウトハイの速いボールというところだろうか。
カンッ!!
ペンネショット。
インコースの低めのボールに対して、ややアッパー気味のスイングでバットを立てるようにして逆方向に打球の道筋を導き出した。
今回はレフト線ではなく、左中間へ。アラビアータ風味な感じでしょうか。ピリッとしたスライス気味の打球をセンターが斜め前に追う。
ネクストから見ていると、よしっ!これは落ちた!と、確信出来るものがあったのだが、何せノーノーがかかっていますから。
ノーバウンドで捕球してアウトにしてあげたいという気持ちを捨てきれなかったセンターの選手。
足から滑り込んだチャレンジを見せたが、目の前で打球はワンバウンド。さらにそのバウンドに反応仕切れず横に弾いた。
バンッ!!
平柳君が迷わず1塁を蹴って2塁へ行く。
レフトの選手がカバー。素手で掴んで2塁へほん投げるも精度は十分ではなく、やや逸れ気味。
ヘッドスライディングで交わしながらの着塁でセーフになるには楽勝のタイミングとなった。
デケエ。終盤同点、ノーノー阻止の先頭バッターツーベースはデカ過ぎますわよ。
コツン。
ロレンス監督が迷わずバントのサインを出してくれたのもデケエ。
スプリングトレーニングの時などにも……。
「君がどれほどのバッターなのかは分かっているつもりだが、それでもチームの為のサインをこなしてもらうこともある」
と、言われていましたのでね。
それが今。1点取れればもう。という試合展開になりつつありますからね。
そんな中、3塁線へ素晴らしきバント。
これがジャパンクオリティのおバントですよと、ようやくアメリカのベースボールファンの皆様の前でお披露目する機会が訪れたわけだ。。
昨日みのりんが何度も頬張った、いなり寿司みたいな厚切りの牛タン。
その中に詰まっていた刻みねぎよりたっぷりな犠牲心溢れるバントで1アウトランナー3塁。
バーンズの打球はショートへ痛烈なゴロ。ワンファンブルしてなんとか1塁をアウトにする間に、平柳君がホームイン。
ようやくこの試合の先制点が生まれたのであった。
そうしたらあと2イニング。バッター6人。
メジャー初先発の23歳がいきなりノーヒットノーランなんてカッコ良すぎるやん?
やってまえ!!
レフトの俺からすると後は祈るような思いだけだったのだが。
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