シューアイス、1個4ドルはたけーですわ!

「時くん、準備出来ました」



「よっしゃ!車も到着してますし、早速いきますよ!ほーら、かずちゃん、いきますわよ!」



「きゃっ、きゃっ!きゃっ、きゃっ、!」



おむつチェックをパスしたかずちゃんとみのりんを抱っこして、双子ちゃんを従えて家を出る。



お隣の平柳家に、おっさき~!フォーッ!!と、騒ぎ立てて、さっさとエレベーターで下に下りてやった。



エントランスを抜けて、待機していた車に早速乗り込む。助手席とその後ろには、桜井さんと黒崎さんが既に到着していた。


ベースボールタイムだと、テンションの上がっているかえではグラブを抱えながら2人にハイタッチした。



俺もかずちゃんをチャイルドシートに乗せて横の座席へ。



「黒崎さん。キャンプ場行く前に、あそこのお菓子屋さんに寄ってもらって」



「了解っす!!」



黒崎さんがドライバーであるクロフォードさんに通訳し、車は颯爽と走り出した。



「時くん。何人くらいのバーベになるだろうね」



「どうだろう。選手は、メジャーにいるメンバーだけって言ってて、20人くらいで。半分くらいは結婚してたり、彼女とか連れてくる人もいて、スタッフやスタジアムを出入りする職員にも声掛けてたらしいからね。


俺のようにお付きの方々も連れてくる人もいりだろうし。40人50人ではないと思うよ」



「すごい集まりになりそうだね」




「なー!これはリーディングヒッターとして気合い入れていかないとね」



「何の?」



「おとう!キャシー達も来るよー!」



「そっか。ロンギー1家だけで12、3人はいるんだった」



「それじゃあ、100個くらい買っていっちゃおうか」



「そだねー」



そんなわけで。



手ブラではちょっと申し訳ないなということで、途中のお菓子屋さんにピットイン。



みのりんが調べた中では1番評判がいいというお菓子屋さん。ケーキやらクッキーやら、ラスクやらなんかを販売しているお店。



その中で彼女がチョイスしたのは、シューアイス。ふんわりとした生地の中に、地元産の上質なミルクを使ったアイスをぎっしりと詰めた1品。



バニラ、チョコ、ストロベリー、ブルーベリーと4種類で合わせて100個を購入。ドライアイスと一緒に発泡スチロールに詰めてもらって車に戻った。




そしてそのままキャンプ場へ。



メッセージできていた案内人従って場内を走ると、芝生エリアにそれらしい人だかり。



車を止めて、みんなで歩いて向かう。



シャーロットウイングスのロゴも入った、真緑のテントを張り、車でけん引するタイプのすごくデカイバーベキュー台が2つ。



その周りで忙しく働く、うちのレギュラーセカンドの奴。



「おーい!ザムー!!」



「わー!アライさんじゃないかー!」



ジーンズに袖捲りした長袖シャツ。その上からエプロンをして、ザムキャンプインファームと文字の入ったおしゃれなキャップを被っていた。




「ようこそ、ザムキャンプへ。そちらが噂のミノリンサンと、3人の子供達だね」



「ああ。かえでともみじは双子。長男がもうちょいで1歳になるカズヒトだ」



「みんな可愛いなぁ!君たちは、パパのような野球選手になるのかい?」



ザムは下ごしらえ中の野菜がたくさん入ったザルをテーブルに置き、片膝を着くようにして子供達に目線を合わせた。



「私は野球選手になるー!」



「そっかぁ。もみじちゃんも野球選手?」



「わたしはゲームクリエイター」



「すごい!カッコいいね!バーンズが喜びそうだ。アメリカは、女子のメジャーリーグも盛んだから、プロになったは是非挑戦して欲しいね。うちの姉は、ロサンゼルスのチームのエースなんだぜ!」



「そうなんだー!どのくらいのボール投げられるの?」



「MAX84マイルくらいだったかな」



「すごい!うちのおとう、82マイルも出ませんよ」



「あははっ!君のパパは、そんなのは関係ないくらいのすごい技術を持っているからね。この国にいる1000人以上のメジャーリーガーの誰もが叶わないくらいのやつをさ」



「ザムさんもうちのパパに負けてませんよ。チームで1番の足の速さがあるんですから。開幕戦でポカしたからって、平柳さんに負けたと思わないでね。ザムさんのセカンドだって凄いんだから」



「わーん!ありがとう!2人でボクの子供になって欲しいよー!今日はいっぱいお肉を食べていってねえ!!」



ザムはそう泣いて喜んだのだった。





ザム君は、今日のBBQの主催者とはいえ。その彼をよいしょする双子ちゃん達に、俺とみのりんはしばらく愕然としていた。



そして、はっと思い出す。



「ザム君、これお土産のシューアイスだ。みんなで分けようと思って100個買ってきましたよ!」



「あっ、これ。あそこのお店のやつじゃないか!さすが4割打者だぜ。ありがとう。母屋に冷凍室があるから、こちらで預かっておこう」



「おお、頼んだぜ」



その後、ザム君のご両親や親戚と思われる方々とご挨拶をして、風土病だからと、サムライやニンジャの真似事をして笑いを取った俺はある程度満足したのだった。



「かえでちゃん。来たよ、ライバルが」



もみじが少し遠くを見ながら、かえでの服をつまんだ。



その方向からは、黒と白のファミリーカーが2台こちらに向かってくる。



アスファルトが続いているギリギリのところで止まったその車に、うちのお姉ちゃんはバットを担いで、ずんずんと歩いてカチコミに行くスタイル。



車の中では、ロンギーチルドレン達がオラついているかえでを見て笑っている。



ドアがうにょーんと開くと、同じように待ちきれないとばかり、白人の子供達がグラブやらバットをやらを抱えながら我先にと車から降りてくる。



そしてかえでは、降りてきた子供達1人1人と たハイタッチ。



さらに、自分で歩ける中で1番小さい子が降りようとしたら、転ばないように手を取ってあげて手助け。



落としたボールも拾って、小さなグラブの中に入れてあげていた。







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