ゴリッといかれるのが気持ち良くて堪らないですわね。

俺だけではなく、サッカーやバスケットの選手、レスリングや柔道家。ゴルファーや陸上選手など、様々なプロを見てきたキャリアがほとばしっているわけですよね。



そしてそんな彼は言う。



「私の関わってきた選手の中で、1番ノンアスリートなボディをしているのは、新井君。あなただよ」



と、野球の若手代表合宿初めて会った時にはっきり言われてしまいましたよ。



ガビーン!として言いようがありませんでしたわね。



そしてその若手代表の時に俺は調子に乗って腰を痛めちゃいましたけど。その際に色々お世話してもらったのが始まりでしたね。



「この前のニューヨークとの連戦が終わって、まずは前半戦の最初の山場は乗り越えたという感じかな」



仰向けに寝る俺。そのメジャーリーガーとは思えぬ肉体。その背中にある背筋の辺りをぶっとい指でグイグイと押し込んでいく。



「そうですね。ある程度貯金を作って同率首位。打線が湿り具合がもう少しなんとかなればもっと勝てそうな気がしますけど」



「しかしそんな中、新井君はリーグトップの安打数で、打率4割1分2厘。さすがは4割打者。見事な適応力といったところかな?」



「いやいや。そんな大層なものでは……。桜井さんと黒崎さんのサポートがあればこそ。本当に感謝してもしきれませんよ」



「まっ、そんなこと言っても手加減してマッサージはしないけどね!」




ゴリッ!!



「ぎょえ~っ!!?」





ドタドタドタドタ!!



俺の叫び声が響くと同時に、玄関がやかましくなり、廊下を走る足音。



俺と桜井さんがいる部屋のドアが勢いよく開け放たれる。



「おとう!ただいまー……桜井さん、こんにちはー!」



「おかえりー、こんにちはー!ちょっとパパを借りてるねー」




ブラウスに薄いブルーのセーター。膝より少しだけ長いスカートを履いて、カバンを背負ったかえでがペコリと頭を下げた。



びっくりしながらも、ちゃんと挨拶出来てえらい。



「もみじちゃん!桜井さんいるよー!」



かえでがドアに手を置いたままリビングを顔に向ける。



すると、カバンを置いたもみじ。早速ゲーム機を手にしながら、おピンクのセーターをお召しになって現れる。



「桜井さん、こんにちは。パパの調子はどうですか?ダービーに間に合いますか?」



「俺は競走馬か!」



「パパ。競走馬か!って、競走馬鹿という意味も取れるよね」



「先を見越したボケをしない。7歳らしい会話をしなさい」



「パパ譲りですが………」



「それは何も言えなくなる……」






トタトタトタ。



「パーパ、パーパァ!」



お姉ちゃん2人がやって来たからか、もう少しで1歳になる怪獣が襲来。オムツで腰回りを強化しながら、固いスポンジ性の積み木を持ってやってくる。




俺はうつ伏せになりながら、襲来したチビ怪獣の頭を撫でる。



「パーパァ」



かずちゃんは、手に持っていたスポンジ積み木を俺に渡そうと差し出す。1度落としたのをすぐに拾いあげて俺の手に渡し、指を1本1本折るようにして握らせてくるのだ。



今のかずちゃんの流行り。



家族に何かを渡すという。



自分のおもちゃだったり、ボールだったり、タオルだったり。新しく掴めるようになったものをプレゼントしに来てくれるのだ。



俺にブルーで四角い積み木を渡すと、かえでにはグリーンの三角を渡し、紅葉にはイエローの橋の形をした物を渡していた。



一通り渡し終えると満足したのか、フローリングに座り込み、残った積み木を組み合わせて遊んでいるようだ。



「おとう!BBQは!?」



かえでがそう言った通り、今日はBBQの日である。



実家がでかいキャンプ場を経営しているザム君が企画し、チームメイトやスタッフなどの人々をご招待しているのだ。



だいたいの人は都合がつくみたいで、みんな家族を連れてくるみたいだから、ロンギーチルドレン達とまたベースボール対決がしたいと、かえではウォーミングアップに勤しんでいる。



ソファーに座り込んでゲームに勤しもうとしたもみじも巻き込まれた。



「もみちゃん、また前みたいなバント決めてね!」



「私も野球しないといけないの?」



「今のうちにサイン決めとこ!奇数イニングは、アゴがキーで……」



「めんどくさいなぁ」




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