エピローグ3
*
重要な実験体のレイヤの捕獲に失敗したユウトは、一ヶ月の停職処分をくらった。このていどですんだのは、ユウトが軍上層部のおぼえがいいからだ。常日頃、ヒロキやセイのようなとびっきりの美女をあてがってやっているのだ。ユウトの所長としての地位はゆるぎない。
しかし、それにしても、休暇もひとつきになると退屈だ。ヒマつぶしにテレビをつけると、人気の異端審判が放映されていた。
このゲームはほんとに市民の人気が高い。とくに、この前のヒロキたちの回は好評だった。参加者にいつも以上の美形が多かったし、刺激的な場面もあった。マナブが美女を切りきざむ場面では、瞬間視聴率八十パーセントに達した。テレビスターになりたいという彼の夢は叶ったわけだ。
今もテレビ画面には異端者の笑顔があった。生き生きと美青年を解体しながら、カメラにむかってアピールしている。カレンだ。今では憧れだったマリオネットの後継者を名乗り、ゲームのレギュラーになっている。異端者もこれくらいひらきなおっていれば、かえって生きやすいに違いない。ヒロキみたいな気弱なやつが、一番、中途半端なのだ。
おれも人のことは言えないか——と、ユウトは自嘲する。
安全装置はわざと外してなかったのだ。でなければ、ヒロキに銃口をむけることがためらわれた。
(情が移ってたのか。あんな犬でも、なつけば可愛い)
今ごろ、彼らはどこにいるのだろう。広大な空のもと、自由に走る二人を思うと、特安の犬には少し羨ましかった。
了
屍喰鬼ゲーム3〜異端狩り〜 涼森巳王(東堂薫) @kaoru-todo
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