第12話 爆発音の正体
「なぁ酒呑童子」
「どうじた?」
俺は、爆発音が聞こえた場所に酒呑童子、山越さん、八岐大蛇とともに向かっていた。
「今回の化物、結構強いと思うか?」
「ああ。五芒星の管理している試験会場だ。なんかしらの結界は貼ってあるはずだ。そんな中あの爆発の大きさ。少なく見積もっても大叫喚はある」
「でも、ほかの受験者の化物の力とかじゃない?」
山越さんがいうと、八岐大蛇が返した。
「いや、たかだあの程度の人工化物にあれほどの技を使うとは思えん。力の無駄だ。それと、人工化物の出現率の悪さも、侵入した奴が祓ったと考えると筋が通る。それに酒呑童子、お前ももう一つの違和感に気づいてるんじゃないか?」
「え?そうなのか?」
「ああ。この気配、俺たち以外の受験者の気配が全くしなくなってる」
「え?それって…」
「ああ、死んでる」
「そんな…」
「まぁまだ俺が気配を感じ取れてないだけで生きてる奴はいるかもしれないがな」
よかった。まだ生きてる奴がいるかもしれない。そう思った次の瞬間
「危ない!」
ドーンドーン!
八岐大蛇がいきなり叫んだと思うといきなり飛んできた火の玉からかばってくれた。
「大蛇。大丈夫か?」
「案ずるな。この程度、なんともない」
「一体だれが…」
気配を探れ。八岐大蛇だったから無傷だが、あんなに威力の高い火の玉を放てるとなるとかなり強いぞ。
「…そこだっ!」
火炎 徳利
ズドドドドーン
俺が撃った火炎 徳利は確かに何者かに当たった。そして、そいつがゆっくりと、こっちにやってきた。少しずつだが姿が見える。四足歩行で、銀色の毛、鋭い牙と爪。それを見て、俺はそいつが誰だかすぐに分かった。おそらく、山越さんも気づいてるだろう。なぜならさっき筆記試験に出たばっかりだからだ。
「フェン…リル…」
「ああ、間違いない」
酒呑童子たちと同じ大焦熱のフェンリルだった。
「ワオォォォォォォン!」
フェンリルが遠吠えをしたかと思うと、こちら側にとびかかってきた。
「しょうがない、やるか!」
「ですね!」
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