第11話 八岐大蛇

タッタッタッ


俺は酒呑童子とともに化物を探すために走っている。


「なぁ、化物百体いるって言ってたよな?それなら一体ぐらいすぐ見つかるはずだぞ?なんでこんなに見つからないんだ?」


「さあな。俺もわからん。気配消すのがうまいんじゃないか?」


「いやそんなレベルの出現率の悪さじゃないぞ」


俺と酒呑童子があーだこーだ言いながら走っていると、茂みから何か気配を感じた。それは酒呑童子も気づいたようで、二人は足を止めた。


「酒呑童子。あそこ…」


「ああ、確実に何かいる」


「じゃあ、あぶりだすか」


火炎 徳利


俺は茂みの上に無数の火の玉を作り、一気に落下させた。すると、茂みは燃え、その中から、ロボットのようなものが5体ほど出てきた。


「なぁ、まさかこれが人工化物か?」


「ああ、そうみたいだ」


なんか、もう少し化物っぽいの期待してたんだけどな。毛生やすとかぐらいすればいいのに…

すると、人工化物は俺たちを見るなりいきなり襲い掛かってきた。威嚇とかしないのかよ。

すると酒呑童子が前に出た。


「ここは俺がやる」


酒盛 昏睡炎舞


酒呑童子が一気に五体の人工化物を倒した。

その直後、俺はまた後ろに人工化物の気配を感じた。


「またか」


俺はとっさに後ろを振り返った。三体ほど、俺にとびかかろうとしている。

させるかよ。


火炎 酒蔵…


俺が技を出そうとした瞬間


「シャァァァァァ!」


どこからか大きな声が聞こえたかと思うと、目の前の人工化物が大きな蛇に食いちぎられていた。しかもその蛇は一体ではない。二体、三体…八体もいる。


「なんなんだ?この化物?」


すると、酒呑童子が


「あれ?大蛇じゃん!」


今までよりも少しテンションが高くなった。


「え?酒呑童子、こいつ知り合い?」


「ああ、八岐大蛇って言って、さっきお前らが筆記試験やってる間に仲良くなった」


「そうだ。さっきぶりだな。酒呑童子」


八岐大蛇が返事をした。八つの頭から同じ声で同じことを同時にしゃべるせいで頭がおかしくなりそうだ。


「それにしても、大きいな…」


「そうだろ?なんたって20メートルもあるんだから」


「え?だれ?」


俺が声のした方を向くと、そこには一人の俺と歳が変わらないくらいの男がいた。


「あーごめん。驚かしちゃったかな?俺は山越 彼方。大蛇の契約者だ。君は?」


「あ、双川 晴人、酒呑童子の契約者です」


「そうか。お互い頑張ろうな」


「はい」


それにしても大蛇ってすごいな。めっちゃ大きい。あれ?でも大蛇って…


「大蛇って、山八つ分のサイズあるんじゃ…」


八岐大蛇、結構有名な妖怪だから試験勉強の時に教わって俺もある程度は知っている。ランクは大焦熱で酒呑童子と同じ。八つの頭と尾を持つ化物。習ったのはここまで。でも、なんかのゲームで山八つ分あるとかって…


「あー、なんか最初はそんぐらい大きかったらしいけど、そんなに大きいと目立つからって少し小さくなったらしい。今の時代見つかったら大変だしね」


「いや、それにしては大きいような…」


そうこう話していると少し遠くから、


ドーン!


爆発音が聞こえた。


「なぁ、今の爆発音って」


「はい。人工化物が出せるようなものじゃなさそう」


「一体何なんだ?」


「とりあえず、行ってみましょう」


「オッケー。行くぞ大蛇」


「承知した」


「急ぐぞ酒呑童子」


「おう!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る