第6話 酒呑童子の力

晴人の周りを炎が直方体になり囲った。風切りはその炎に当たった瞬間、焼けて消えてしまった。すると、火は消え、中から晴人が出てきた。でも、さっきまでとは違う。目は赤くなり、顔つきも変わった。


「なるほど、これが酒呑童子の力か。なかなか使い勝手がいいな」


――火炎 熱燗


すると晴人は両手に炎をまとって猛スピードで男のところまで近づいた。


おかしい。


俺の力は確かに強いし、炎を操るというシンプルなものなので扱いやすくはある。だけど、これは扱いやすいからという域を超えた使いこなしだ。特に火炎 熱燗は俺の力の中で扱いが難しい部類の技だ。それを俺と契約して間もないのに使いこなしてやがる。一体どういうことだ?


「がはっ」


男がこっちの方へ飛んできた。服の所々に焼かれたかのような穴がある。


「くそっ、こいかまいたち!」


「キィィィィィ」


かまいたちが晴人を襲おうとしている。


「させるかよ!」


――酒盛 火炎一閃


ザシュッ


俺が自身の出せる最速の技を出してかまいたちを止めた


でもおかしい


俺って契約完了時の速度ってこんなんだったか?もっと早かったはずなんだが。それに、本当ならこの一撃でこいつぐらい軽く倒せてるはずなのに…


「キィィィィィィ」


動けないようではあるが、まだ生きている。


「そんな、かまいたちが…」


男はかまいたちが俺にやられて絶望したようだ。


「ふんっ、かまいたちもそんなもんか…」


晴人が立ち崩れている男を見下している。


「まぁ、初めての戦いの相手としては最適だったかもな。じゃあな」


晴人が炎を纏った手で男をつかみ、一瞬のうちに燃やした。その煙はすさまじく、すぐさま俺の視界を奪った。煙が晴れたとき、そこにあったのは倒れた、おそらく化物の記憶のないであろう男と、目や顔つきが元に戻っている晴人の姿であった

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