13 再び運命は動き出したにゃん!(前編)
あの夜の出来事から3日が過ぎた。
「それじゃあ、アンナちゃん、行ってくるにゃん。」
「行ってらっしゃい。
二人共、お出かけ、楽しんできてください。」
「うん、楽しんでくる。」
二人は宿を出て、手を繋ぎながら町を歩き出した。
「でもニーナお姉さん、この3日間、冒険者のお仕事をお休みにして一緒に居てくれたけど、よかったの…?
頼まれてる依頼いっぱいあるって言ってなかったけ…?」
「気にしなくていいにゃん、私がスフィアと一緒に居たかったんだもん。」
「そっか…」
(スフィアの言った通り、頼まれてる依頼はいっぱいある…
でもあの夜から、不安でスフィアの側を離れるのが怖いのにゃん…
でもそれをスフィアに気にさせちゃ駄目だにゃん、またスフィアに罪悪感を抱かせるだけだから…
普段通りの私でいるにゃん…)
「ニーナお姉さん…?」
「にゃ、さて、今日はどこに行こうか?
スフィアは行きたい場所はあるかにゃん?」
「私はまた手芸店に行きたいかな。」
「ビーズが欲しいのかにゃん?」
「うん、それもあるんだけどね、私、アンナちゃんに教えてもらって、お裁縫を始めたんだ。
だから、ポーチ作りに使う生地が欲しくて、いいかな?」
「もちろんいいにゃん。
でもそっか、お裁縫を教えてもらってるんだ、スフィアもアンナちゃんみたいに衣装作りが出来るようになったりするんだろうにゃ。」
「そっそんな、私なんて、まだお裁縫を教えてもらったばかりで上手に糸を縫うことすら出来ないもん…」
「だいじょうぶ。スフィアならきっと上手に出来るようになるにゃん。」
「期待に応えられるかな…?」
「いつか私に衣装作ってくれたりしたら嬉しいにゃん。」
「私も作ってあげたい、頑張る。」
「ありがとう、楽しみにしてるにゃん。」
「えへへ…」
(このまま、平穏に暮らせるといいにゃん…)
そんなニーナの心からの願いも虚しく、二人の平穏を引き裂かんとする者達が町に刻々と忍び寄っていた…
「ヒヒッン!」
「皆、止まれ、エルナ少尉、あの一里ほど先に見える町がそうか?」
「ええ、ドーラ大佐、あの町に間違いありません。」
「そうか、では参るとしよう、皆、我々の後に続け!」
「はっ!かしこまりました!」
馬に乗った小隊は町に向かった。
(待っていろ、〇〇の奴め…あの時、この我、ドーラ様を侮辱した恨みを晴らしてやるからな!必ず、必ず、殺してやる!)
その殺気を感じ取ったのか、スフィアは寒気を感じた。
「んっ?どうかしたにゃん?」
「あっううん、何でもないよ。」
「そうにゃん?」
「糸はどれにしようかな…」
(なっ何だろう、今の…?一瞬、ものすごく怖かった…気のせいかな…?)
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