子守唄を聞きながら…

「ただいまにゃん…?」


「はっ、スフィアさん、ニーナさん!」


「ご迷惑おかけしたにゃん。

 この通り、スフィアは連れ戻せたにゃん。」


「ごめんね、アンナちゃん…

 私、アンナちゃんを怖がらせるようなことしたんだよね…?何て謝れば…」


「謝らなくていいです…」


アンナはスフィアに抱きついた。


「あっアンナちゃん…?」


「よかった…本当によかった…

 もう何も言わずにどっかに行ったりしないでください…」


「うん…絶対にしないよ…

 心配してくれてありがとう…」


「好きでやってることですから。」


この時、微笑んで抱きしめ合う二人はまるで

仲の良い姉妹のように見えて

私はとても温かい気持ちになったのにゃん。


「お二人ともお腹空いてませんか?夜遅いけど、夜食作りますよ?」


「確かにお腹空いたにゃん…作ってもらおうかな…?」


「私もお腹空いちゃった…」


「ふっふ、じゃあ、お二人共、出来上がったら、お呼びしますから。

 それまで、お部屋でくつろいで待っていてください。」


「ありがとうにゃん…ふにゃぁぁ…」


私は仕事疲れからか、眠そうに答えて、スフィアと部屋に戻ったにゃん。


「さて、アンナちゃんのご飯が出来るまで、スフィア、何かして遊ぶかにゃん。」


「ニーナお姉さん、こっちにおいで。」


「もしかして撫でてくれるのかにゃん…?」


「うん。」


「じゃじゃあ、お言葉に甘えるにゃん…」


私はスフィアの膝に頭をのせたら

スフィアは優しく撫で始めたにゃん。


「どう?気持ちいい?」


「にゃぁぁ…気持ちいいにゃん…

 今日の疲れが吹き飛ぶ気がするにゃん…」


「子守唄も歌ってあげるね。」


「子守唄…?」


「歌うね。〜〜〜〜〜♪〜〜〜〜〜♪」


「ふにゃぁぁ…これが子守唄…

 何でだろう…どこかで…聞いた…ようにゃ…スゥゥ…」


ニーナはスフィアの透き通る優しい歌声を聞いて、一瞬で眠りについたのだった。


「ニーナさん、スフィアさん。

 ご飯の仕度が出来ましたよ、あっ…」


「しぃ…」


二人はニーナを起こさないように小声で話した。


「ニーナさん、寝てるんですね。」


「そうなの、だから、少しだけ寝かせてあげたいの。いいかな…?」


「ええ、もちろんですよ。

 それにしてもニーナさん、安心した顔で寝てますね、まるで幼いお子さんみたい。」


「可愛いよね。」


「ええ、可愛いですね。

 そしてスフィアさんはお母さんみたいです。」


「えへへ、お母さんだなんて…でも昔もこんな感じにしてあげてたような気がする…」


「きっと前世にニーナさんを育ててたんじゃないですかね。」


「まさか。」


「ふっふ。」


ニーナの眠る姿を見て、二人は微笑んでいた。


「スフィア…」


「だいじょうぶ、もうどこにも行かないよ。」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る