第42話 素直①

 あ~、もう分かんね。あの日から、自分が自分じゃなくなっているのを感じる。大人になってから泣いたことってあったか?無いよ、無いさ。あっても、1人の時だよ。感動して泣いたとかだよ。別に、女の子に相手にされないってことは何度もあったじゃないか、何でだ?あの日は、弱ってた?


 気づいたら、顔を両手でおおってしまう。恥ずかしさでいっぱいだ。あんなに恋愛もしてきたし、たくさん経験してきたのに、1人で対応出来てたのに。何があったんだ。自分に起きた出来事に、戸惑とまどいをかくせなかった。


 これまでの経験で分からなくて、対応出来ないことがある。もし、もしだよ、仮に沢村に恋をしていたとするのなら、あんなカッコ悪いことを言えるのだろうか。電話して泣くだろうか。恋って、もっとスマートにカッコいいところしか見せちゃいけないと思っていたから、こんなに恥ずかしいだらけじゃあ、恋愛にならないんじゃないか。恥ずかしいよな。


 そっと、携帯の中の餃子ぎょうざの写真を見てみた。初めて作った餃子。上手く作れるようになりたいな。沢村が言ってたカッコ悪くてもいいから、一緒に。あの言葉に深い意味は無いと思うけど、嬉しかった。はげましてくれたんだよな、お金が無いって思われたって泣いたから……あ~、もう大人なのに。


 ずっと、あの日のことを思い返して、フワフワしてる。仕事の手を動かしながら、頭では、あの日のことを考えている。あの飲み会のから、橋本とは会っていない。もう当分、会わなくてもいいや。


 もっと、人との付き合いってスマートに出来るもんだと思ってた。こんなに気まずく、恥ずかしい思いをするのは、相性が合わないのかなって思ってけていたから。これは、何だろう。いつも、気恥きはずかしい事ばかりで上手くいかないのに、でも話したくなる。もう、しばらくはいいやって思うけど、いざあの日のようなことがあるとうれしくてたまらない。でも、現実を考えるとみ出せない。


 感情と考えが相反あいはんしていて、むずかしい。これから、どうしていきたいんだろう。






























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