第40話 継続の秘訣③

 橋本から、職場の近くのカフェに呼び出しをされた。呼び出される心当たりが無く、何だろうと、トボトボ向かった。

「お疲れ~」

「うっす」

 橋本は携帯けいたいを見てて、ポケットにしまった。

「忙しい?」

「忙しかったら、来れないよ」

「そっか」

 軽く笑いながら、腕時計がチラッと見えた。お昼終わりの午後、店内の客は、まばらだった。ビジネス街のカフェは、お昼が終わるとコーヒーの持ち帰りをする客が多かった。


「月本、率直そっちょくに聞くぞ」

 

 橋本が前かがみになった。

「何だよ」

 ぐな橋本の視線しせんに、体が引いてしまった。


「お前、金が無いのか?」

「へ?」

 急に何を言いだすかと思って、拍子抜ひょうしぬけしてしまった。

「何でだよ?」

 最近飲み会に行ってないし、自炊じすいしてるから前よりあるはずなんだが。

「ほら、あれだろ。老後ろうごの心配して、すげぇ貯金に回しているから金が無いとかさ。まぁ、もしくはなんか投資とうし?とか、やらかして金欠きんけつか?」

「なんで?」

 スラスラと口から出る橋本を尻目しりめに、俺はキョトンと目を丸くした。

「いや……俺がさ前に、この時計をちょっと自慢じまんしちゃったから、お前もしくなって金貯めてんのかなとか、まぁ別な理由にしてもさ」

 はぁ……まぁ確かに橋本の時計はカッコいいと思ったけど、欲しいとまではいかなかった。でも、なんで俺がお金無い事になってるんだろう。


「お前の様子ようすが前と違って、心配してんだよ。飲み会にさそっても来ないしさ。昼間に弁当作って来るとか。今まで、そんなことなかっただろう。付き合いも悪くなってるしさ」

「はぁ……」

「はっ、まさか、お前!」

 急に橋本が思いついたように、振り返った。

「何?」

 とりあえず、説明するのに面倒めんどうだった為、そのまましゃべらせてみた。


しでも、出来たのか?」

し? って何?」

「何だよ、そこか? ほら、かつって流行はやってるだろ。だから、誰か推しでもいんのかなって。あっ、お店の子?」

「ううん、行ってない」

「ああそう、まぁ俺も誕生日の時とかさプレゼントやら、その子の売り上げのため頑張がんばったよ。まぁ、そういうのって応援おうえんしたくなるよな」

「何の話?」

「それも、違うの?」

「うん」

 橋本が、ギョッとした。橋本は “ 何がコイツにそうさせているのか ” 分からず、困惑こんわくしていた。


「俺の知ってる月本じゃない。お前、誰? 月本、戻って来いよ。あの、飲み会のたびに “ 可愛かわいい子、いるかな? ” って、はしゃいでいた月本。戻って来い」

 泣き顔で、肩を大きくさぶった。力の限り、さぶるので容赦ようしゃなく痛かった。

「痛いよ、めろって。俺は、変わってないよ。ただ、新しい趣味しゅみというか楽しみを見つけたんだ。料理って言うほどじゃないけど、自炊じすいとかさ」

「やめろよ、自炊じすいなんて。面倒めんどうなだけだろ、今しか楽しめないこともあるんだぞ。もっと、若い……今この時を大事だいじにしろよ」

「でも、体に良いと思うんだよな。最近、気づいたんだけど、自分で作ったご飯って美味おいしく感じるんだ」

「いや~、もうやめろやめろ。俺の知ってる月本は、そんなこと言う奴じゃなかった。もっと、こう……はっちゃけてた。よし、分かった。今夜、飲み会がある。お前に来て欲しい、それは前のカッコよかったお前に戻って欲しいからだ」

「ええ、いいよ。俺、もうそういうのはさ」

「いや、今のお前は完全にけてる。言ってることが、なんか……落ち着きすぎてダサい。別に否定ひていとかじゃない。ほら、女の子とさ久しぶりに楽しんだら、お前もきするって」


 こいつ、誰か一人来れなくなった穴埋あなうめだな。嫌だな、あんまノリ気じゃない。


 俺は、渋々しぶしぶ、橋本のさそった飲み会に行くことにした。













































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