第37話 迷い③

 なんで、あんな事、言っちゃったんだろう。


 朝から、ずっとずっと、そんな思いがグルグル回っている。ただただ、恥ずかしさが舞い上がっている。こんなの水をかけられた方が、全然、平気だった。あいつ…沢村、泣いてたぞ……てか、なんで俺、花なんか買った? そんな、そんなこと前に付き合ってた彼女たちにすら、花なんてあげたことなかったのに。


 まぁ、きっとちまたあふれてるラブストーリーは、きれいな展開てんかいでって解釈かいしゃくするだろうが。俺らの場合は、なんか違う。占いの人に、ほだされ、気が舞い上がったのか、相手に言わなくてもいい事を、ぶっちゃけて……最後は別に付き合うとかいう訳でも何もなく。途中、何言ってんのか、分かんなかったけど……ヤバい、その時の記憶が恥ずかしさが上回って、あんま覚えてない。俺、なんて言ってたっけ。


 会社で、パソコンの画面をボーッと見ながら思い出そうとした。一応、業務の資料を広げながら、心ここにあらずで、一つ一つの出来事できごと検証けんしょうしていた。


 何で、花を買った? あれが一番のなぞだ。俺、何がしたかった?


 俺たち、お互いに分かち合った記念?……もう、とんだ勘違かんちが野郎やろうで、恥ずかしい。自分の取った行動に、われながら驚きだ。そりゃ、相手も “ 何してんの ” って言うわな。


 そして、最後、何って言ったんだろう。とりあえず、楽しもうよみたいな、だから何? みたいな。もう~、最新の黒歴史くろれきしじゃん。椅子をクルクルと回転してみた。


 まっ、恥をかさねて人間、うつわが大きくなるって言うしな……聞いたことないけど。冷静になると、その時の俺は、どうかしてた。待て待て、前の俺だったら、人に何か渡す時って前もってちゃんと準備するし。急になんて、しないのに。


 あんなに沢村に恥ずかしいこと言って、花をあげて何がしたかったんだ俺。自分の行動に考えが無かったのが、ただ勢いで動いていた。俺、やっぱり前と変わってんのかな。ちょっと息抜きに、コーヒーを飲みに行った。


 勇気、素直、受け入れる……寂しさを受け……おおっ。コーヒーを飲みながら、携帯で調べてみた。恋愛要素か友情か。沢村は、ずっと一人で寂しかった……おおっ、何度もコーヒーを飲み直し、携帯を見つめた。


 どうしよう……過去の経験から、傷つけないか、振り回されないか、不安になった。ゆっくりと時間をかけたいけど、もし、もしも途中できて、他の女の子へよそ見なんてしちゃったら……まぁ付き合う訳じゃないんだけどさ。


 成長か……こんなに慎重しんちょうになってんのも成長してんのかな。女性と付き合うなんて、好きか嫌いかの感覚できるのも、自然のことだと思ってたからなぁ。仲良くするのも、いきおいの感覚で進められたけど、今は何だろう。ゆっくり考えてみた。


 もし、今度会ったら何話そうか。作って美味おいしかったご飯、あっスーパーのセール時間とか聞いてみようかな。胸ポケットから手帳を出してメモをした。携帯にメモしてもいいんだけど、考えながら書きたかった。多分、1人分だと弁当の方が安く済むと思ってて、食費をおさえたいんだけどバランスの良い食事は、どうしてんだろう。


 料理とか健康の話は好きそう、仕事って何してんだろう。いきなり聞くとマズいか、あっ読んでるビジネス書とかあんのかな、スキルアップとか、資格なんて。俺は仕事に、どんまりの時があるけど、壁に当たった時、どう対処たいしょしてんだろう。


 自分で考えるのも好きだけど、聞いてみたいなぁ。手帳に書きながら、おだやかな気持ちになって、自然と笑顔になっていた。


























































  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る