第36話
月島side
俺の担当医は暫くて病室を出て行ったがカウンセラーの長谷川先生は俺が泣き止むまでずっとそばにいてくれた。
涙が止まり、我に返った俺は長谷川先生に問いかける。
凹「あの…今日は何月何日ですか?」
「月島さんがこの病院に運ばれたのが8月30日で今日は9月1日ですよ。」
それを聞かされた俺は学校に行かなきゃ、浅井くんの所に行かなきゃという事で頭がいっぱいになり、立ちあがろうとするとそれを長谷川先生に止められた。
「今はちゃんと治療しなきゃ。あと少し遅かったら命にも関わってたんだよ?」
凹「でも…学校に行かなきゃ…」
「学校?」
凹「僕…教師なんです…今日から始業式で学校が始まるんです…」
「分かった。あとで学校の連絡先教えてくれたら僕の方からちゃんと事情を説明するから安心して。今はちゃんと体を治すことを考える。ね?」
長谷川先生はそう言いながら俺を寝かせると布団を肩までかけなおした。
それと同時に不安になるのは佐々木先生のこと。
佐々木先生は俺がコンテストから帰った日から毎日、俺の家で過ごし自分の用がある時だけ俺を寝室に閉じ込めるようにして家を留守にした。
佐々木先生の目を盗んで病院に運ばれた俺のことがバレるのも時間の問題…いやもうバレているかもしれない。
そう不安が押し寄せてきた俺は長谷川先生に問いかけた。
凹「あの…僕が眠っている間にここに佐々木英二という人が来たりしませんでしたか?」
「月島さんが運ばれてから1人、男性は来たけど月島さんの状態からして暴力を受けてる可能性があるから、キミを助けたお隣に住んでる中野さん以外は意識が戻るまで面会謝絶にしてたんだ。中野さん以外で来たのは確か背は小柄で色白な人だったけど…帰っていったよ。」
その特徴を聞いて間違いなくそれは佐々木先生だと気づいた俺は、この病院にいることがもう既に佐々木先生にバレていると思うと怖くて堪らなかった。
「もうしばらく面会謝絶にしておこうか?」
突然、長谷川先生はそう言って俺にニコッと微笑む。
凹「え?」
「月島さんがなんでこんな事になったのか話せるようになるまで…面会謝絶にしてる方が安心かなと思って?」
凹「…可能なら…そう…してください……」
俺は佐々木先生からの恐怖を断ち切るために意識が戻ってからも暫くの間、面会謝絶にする事にしこれからどうすればいいのか考えることにした。
つづく
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