第35話
月島side
その日を境にして俺は佐々木先生に朝から晩まで…いや、俺が気を失うまで毎日毎日、佐々木先生に身体を弄ばれた。
あの日、浅井くんに優しく抱かれた俺の身体はいつの間にかボロボロになっていき、食事や水分もまともに貰えないでいた。
あの日から5日目だろうか?
それとももう、1週間経ったのだろうか?
日にち感覚が麻痺してしまうほど俺は部屋に閉じ込められ、佐々木先生の気が済むまで俺は無茶苦茶に弄ばれ続ける。
痛む身体と違和感を感じ始める下半身に恐怖を覚え、もしかしたらこのまま俺は死んでしまうのかもしれない…
そんな恐怖すら覚えたある日、カーテンの隙間から日が差し込み眩しく感じた。
俺はカーテンを閉めようと裸のままグッタリと寝そべっていたベッドから立ち上がった瞬間…
とてつもない腹痛と吐き気に襲われ、床に倒れ込んだ。
ヤバい…助けて…
そう思いながら寝室から出ようとしても、佐々木先生は自分がいない間に俺が逃げ出さないよう、扉の前に何かを置いているのか寝室の扉が開かず出られない。
どうしよう…
このままだと本当に死んじゃうかも…
そう思った俺は寝室にあったバスローブを羽織り這うようにしてベランダに出た。
ここはマンションの12階。
さすがに飛び降りるのは無理…
どうすればいいんだ…
グッタリとしながら激痛に耐え、回らない頭で考えていると…
隣の部屋からベランダが開く音が聞こえ、俺は力を振り絞り声を上げた。
凹「…たすけて…」
俺のか細い声は届いているのだろうか?
視界もぼやけ始めてよく分からない。
凹「助けてぇ!!」
力を入れ思いっきりそう叫ぶと声が聞こえてきた。
「どうしました!?なにあったんですか!?」
良かった…俺の声が非常壁越しに隣のベランダに届いたんだ…
溢れ出しそうになる涙を堪えながら俺は言った。
凹「ここから助けてください…身体が…お腹が痛くて動けな……」
そこまで言いかけると頭が急にぼんやりとしていき、耳鳴りがして気が遠くなる。
隣人の人の声がワンワンと頭に響いて聞こえる中、ぼやけた視界の中には隣のベランダと分け隔てる非常壁が勢いよく蹴破られていて、大柄な男性が俺を見て驚いた顔をしている様子だった。
その男性はゆっくりと俺を抱きかかえると自分の部屋へ俺を連れて行き、俺はそのまま意識を失った。
次に目を覚ました時には真っ白な天井が見え、自分の腕には点滴をされていた事から俺はあの後、病院に運ばれたんだと言うことが分かった。
すると、俺の横に知らない男性が座っていて、俺が起きあがろうとするとその男性は慌てて俺の背中を支えてくれた。
凹「あの…僕…」
「びっくりしましたよ…ベランダに出た途端、助けてって隣から聞こえてきて。隣に住んでる中野です。」
凹「すいません…助けてくださりありがとうございます。」
N「いえ…僕は大丈夫ですが…とりあえず先生呼んできますね。」
中野さんはそう言って病室を出ていった。
すると、すぐに医師が俺の病室にやってきて身体の状態を説明された。
「月島さんは今、感染症にかかっています。骨も数カ所ヒビが入ってますし、全身に打撲の痕もあります。誰に暴力を振るわれていますね?」
そう医師に告げられた俺は答えることが出来ず思わず口を閉ざしてしまう。
「感染症に関しては粘膜が傷つきそこから細菌が入って感染したと思われます。今、抗生物質の点滴で治療をしているので暫くの間様子を見ましょう。骨のヒビに関しては肋骨2本と左鎖骨にヒビが入ってます。打撲は全身にありますが……その他に気になる箇所はありますか?」
俺は淡々とした話し方の医師にそう問いかけられると何故か自分が問い詰められ、自分が悪いことをしてしまったかのような感情に襲われ涙が溢れ出し俺はその涙を止めようと堪える。
すると、その医師の横にいた背の高いもう1人の先生が俺の手をギュッと握って優しく微笑んだ。
「こんにちは。カウンセラーの長谷川です。もう、大丈夫ですからね。少しずつ話して下されば大丈夫ですから…涙を我慢しないでください。」
そうカウンセラーの長谷川先生に言われた瞬間…
俺は堰を切ったかのように涙が溢れ出した。
つづく
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