提案 ブティラ

 ケローネが目を覚ますと、近くにルトーがいた。時計をみるとまだ6時だ。

「こんな早い時間に何を?」

「ああ、すまない、ただ……相談があって」

 ルトーに言われるままについていくと、ジョンストンが街の端、武具やらしき場所で店主と何か話をしていた。

「ああ、これでいい……長旅になるだろうから」

「ジョンストン」

 ルトーが呼びかける。

「ああ、きたか……ケローネ」


 奥へ案内され、唐突にこう切り出された。

「お前は、魔女と向かい合う覚悟があるか?」

「はい?」

「……説明が難しいんだが、まだあの子は子供だ、お前への反抗はどうだ?」

「あの子は優しい子で、そんな事は……」

「これから大人になる、お前もこの街をみただろう、あの子は普通には暮らす事はできない……我々はそうした子どもたちや、魔女をかくまって生活している、協力者もいる、まだいえないがある諸侯や貴族、教会の一部だ」

「!?協力者がいるのか」

「ああ、もともとは、ただの取引関係だったが、同情する人間も多くいてな、魔女についてはまだわからない事も多いのだ、ただ……古代の文明に、ヒントがあるのだ……」

「古代の文明って……“ブティラ”か?」

「ああ、ブティラ古代教会は知ってるだろ」

「武装して各地で問題をおこしている」

「まあ、宗教が関わるとそんなもんだろう“復興せよ”が経典の目的じゃ」

「審判の後の復刻……我々にはわからないものだ」

「それで……別にいやがらせじゃないんだ、だが俺は、というより俺の部下たちは、人を見る目が鋭いんだ、ルトーが部下から集めた情報でお前を判断した」

 ルトーがコーヒーを入れて二人の前においた。ケローネが口をつける。

「お前……“水”をこわがっているだろう、どうしてだ」

「ブフォッ!!」

 急いで掃除をしながら、ケローネは、冷や汗をかいた。

「その話は……」

「地雷だったか、すまない」

「いや……これから世話になるなら、話しておかなければ、そうだろ?」

 鼻の先をかきながら申し訳なさそうに、ジョンストンはうなづいた。それから事のあらましを話すと、真面目な顔をして、ジョンストンは話をうけいれてくれた。別に笑うこともなかった。

「お前さんや世間は知らねえだろうが、魔女は、世間で不利とされる能力を数倍にして引き出すことができる、お前さんの彼女は……」

「ああ、あるいはそうかもしれないな」

「ともかく俺がいいたいのは、彼女が不安定な時期ってことさ、お前さんの心の問題もある、できるだけ、刺激を少なくしたいんだ、魔女の健全な育成のために、だからお前は別の場所で修行をしてもらいたい」






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