シスターカナリア
緑色ショートのカールパーマに、大きく驚いたような黄色の瞳、鼻も上向きで、見た人を元気にさせるような明るい調子のその人をみて、ヘリオは、ふと3年前の事を思い出した。
「シスター・カナリア!」
3年前、街の教会に赴任してきて、ケローネと一緒に働いていた彼女だ。
「カナリア!!あなたは森で行方不明になったんじゃなくて?」
「いえ、そういうことにして穏便にことをすませたのよ」
「穏便にって、どういう」
「……」
カナリアはにっこりとして、自分のおでこをかきわけて、小さな赤いツノをみせた。
「私は周囲にずっとだまっていたけれど、自分が魔女だと気づいていたの、ケローネに相談したら、心当たりがあるって」
「え?ケローネは、初めから」
「そうよ、リーダーとずいぶんもめたといったけれど、あなたの力もわかっていたはず、だから、旅にだしたくなかったし、冒険者になりたくなかったんじゃないかしら」
カナリアには、ヘリオもお世話になった。カナリアがきてからすぐに街の雰囲気が変わったのではないかと思えるほどだ。器量がよく、冗談が上手で、クロトの街の外の世間の事に詳しかった。子供たちにも、様々な服や、小説の流行などを教えてくれたものだ。
「あの男まさりだったやんちゃなヘリオが、まさかこんなかわいい子になるなんて」
ヘリオは顔を赤くした。そういえば彼女がいたころは、彼女やケローネにくだらないいたずらばかりしていたような。記憶を取り戻した今では、あれは転生前の自分の性格を受け継いだものだとわかる。
シスターカナリアが子供たちに人気だったのは、彼女の判官びいきの性質によるものだろう。子供たちに分け隔てなく接するどころか、多少の悪さをしても子供を守り、ときには子供たちのために自分が身を挺してまもる。その性質は子供だけでもなく、お年寄りや貧乏な人にも同様だった。
今でも覚えている、野垂れ死にそうになっている街の冒険者を、村長とカナリア、ケローネがみつけて、たったの三人で治療にあたったのを。見返りもなく人を手助けできる立派な大人の代表。その一人がカナリアだった。
「カナリア、“あの人”はみつかったの?」
「……ううん」
カナリアは頭をふった。“あの人”というのは、カナリアの思い人で、傭兵をしている人だ。ある仕事を終えたら彼女と一緒になるといって、それきり帰ってこない。同じ村の出身で、手紙を送るが、一年に一度かえって来ていた手紙は、いまではもう、返事もなかった。
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