静寂 没落とジョンストン。リィーラ センカ

 ヘリオは朝めがさめると(といっても、すでに11時をすぎていたが)近くに、メイドがいる事に気がついた。黒髪の前髪はパッツン、ところどころがギザギザになっていて、サイドは少し長めだ。瞳はおおきく緑で、表情のよみとれないほど端正な、整った形をしていた。

「あ、おはよう」

 ここは、特別なレッドウィッカ主要メンバーの邸宅で、空きがあったので使わせてもらうことになった。使いのメイドは、かつてはジョンストンの突き人だったらしい。

「ねえ、あなた名前は?」

「名前、ですか?」

「ええ、ないの?」

「そうではありません、尋ねられたことが、珍しいのです」

(そうなのかな?そんなものなのだろうか)

 ぼーっとした頭でかんがえていた。しかしこのメイドも奇妙だった。なにか挙動に一切の無駄もないし、まるでそれがひとつの型であるような感じだ。ヘリオはすぐに気付いた。彼女はきっと戦える。


「私は、リィーラといいます、しばらく、もしくはずっとあなたのお世話をいたします」

「そうなの、リィーラ、よろしくね」

 朝食を運ばれてきたので、リィーラにもいった。

「一緒にたべよう」

「ですが……そんな無礼な事は」

「人に見られるとまずい?大丈夫よ、私がいっておくから、知らないけれど、私の立場って結構優遇されているのよね?私はそれについては、何もしらない、だけど悪いことには使いたくないから、人のためにつかわなきゃ、ね?あなたは、きっとすぐれた人間で、これから頼りにしなきゃなんないときもあると思うからさ」

「は……では」


 そうして奇妙な食事が始まったのだった。


 一方、ケローネは険しい道の中にあった。

「一体、どうしてこんなに急いで……」

「すぐにわかるよ」

 先導するのは、ルトーだった。警戒な足取りで、すでに数キロをあるいていた。

「ああ、いたよ、彼らだ」

「彼ら?」

 山の頂に近い場所に、奇妙な逆三角の傘をかぶって、胸の前で手を合わせた人間たちがたっていた。男女のようだ。

「彼らはいったい……」

「修験者だ、ウィッカのね……共存関係にある、ウィッカは彼らを“センカ”と呼ぶ、様々な幻覚の術を使うことができる」

「ほ、ほう……なるほど、仏、もしくは仙人の道を究めようとするものですか」

「まあ、そんなものさ」


 色とりどりの食事をつつきながら、一瞬アゴがつかれて、ヘリオはメイドにたずねる。

「あなたはいつから彼らと一緒にいるの?」

「そうですね……彼らというより、ジョンストン様とはずっと一緒におりました、幼少の頃から」

「様……そうか……もしかしたら、ジョンストンは貴族だったとか?」

 はっとして、少しわらって、メッサはいった。

「さすがに鋭い、予言の巫女といわれるお方です、まあ、そのようなものでした」

「ふーん……」

 それ以上話したがらなそうだったので、ヘリオは言葉をきって、行儀よく食事を進めた。







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