占い トゥール 目的=不自由な世界で
ヘリオは、占いババと呼ばれる老婆に手相をみられていた、なでられたり
、さすられたり、トゥールは妙な事をいった。
「この数日で、手相がかわったねえ……偽りから、本物へ変わったようだね、戸惑いがみえるよ」
どうやらここでかなり信頼のおかれている老婆は、“金がないものからはとらず、あるものからは、払いたいだけ払ってもらう”をモットーにしているようだ。整理された部屋には、端にただ奇妙な工芸品や、テーブルや棚には、花柄や、幾何学模様をあしらった敷物や、テーブルクロスがあり、その一角をみれば誰でも占い師と見えるような感じがした。占いの品々がならべられており、しかし、客間と呼べそうなこの場所には、白く、自分の趣味とは違った単純なテーブルと腰掛椅子があるだけだ。
「おっと、ちょっと目が」
「大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫、いつものことさ、少し休憩しよう」
ヘリオは、久々に物静かな自分の周りや横をみる。ルトーが街の案内をしてくれていたのだが、さすがに個人の未来までは監視する趣味はないといって、この部屋に一人ではいった。
「まあ、彼女は謙遜するし、たしかに巨大な権限があるわけではない、だが眉唾であれ、彼女の占いは当たる事が多い、だから参考にいれて、人々は生活している、そしてあの人柄は、皆の心の中心にあるといってもいい」
老婆は、席を立つと、透明なティーポットを手に、甘いにおいのする紅茶をはこんできてくれた。そして、また別の棚に移動すると
「クッキーは好きかい?」
「はい」
「エッグタルトはどうだい?」
「え?好きです」
それからも様々な問いかけがあり、ほとんど好きとこたえていると、お茶菓子がまるでケーキ屋のようにズラリとテーブルに並んだ。どうやらトゥールが漁っていた棚のような場所は、保冷機能もあるようで、ミルフィーユやエクレアなどもでてきた。
「トゥールさん、これって」
「ああ、好きなだけたべてくれてかまわないよ」
「トゥールさんって、お菓子やさんもやっているんですか?髪飾りや格好もオシャレだし、いろんなことができるんですね!」
思わず口をついて出た言葉にトゥールの方がおどろいた。
「あはは、ただの趣味さね、“魔力は余ってる”もんで」
そんな事を話していると、傍から太い人の声がきこえた。
「おい、クソババア、俺のメシをくれ」
「はあ、ディープ、どうしてお前はそんなに……」
「れ?人が?」
老婆はたちあがると、腰にてをあてながら、ある棚の上にある布で覆われたものをはがした。そこには、丸型で上が少しドーム状より尖った形の鳥かごがあり、中に後ろをむいた鳥が入っていた。
(なんだろう、小鳥じゃない……カラス?)
鳥は突然首だけをふりむいた、その顔がにんまりしていたので、少し面を食らってしまった。
「おいババア!!まだか!!」
「こいつは、フクロウさ」
「え?フクロウ?」
「ああ、わかったかい、ただのフクロウじゃない、私の作り出した、魔物だねえ」
フクロウは老婆が餌をあたえると、うれしそうにたべたあと、先ほどまでの態度と反対にいった。
「ありがとう、愛しいおばあちゃん」
「ケッ」
悪態をつくと、老婆はもどってきた。
「……あのー、占いとは関係ないと思うのですが、この街で魔女はどこに?」
「夜になればわかるさ」
老婆は、笑って紅茶をすすった。
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