イルとガウォン

 ジョンストンは軽く手を伸ばし、握手を要求した。ヘリオは握り返した。

「やあやあ、よく来てくれた、君がそろそろ目覚めると“占いババ”がいうからさ」

「初めまして、私あの、あんまりまだよくわかってなくて、私、ここで何をすれば?」

「ああ、そうだな、何をって……」

 後ろを見下ろすと、背後の少年を片手でやさしくだきしめながら、ジョンストンはいった。

「この子は、ガウォンだ」

 でこのひろいいたって普通の気弱そうな少年だ。5,6歳くらいだろうか。

「イル、ちょっと」

 背後で距離を置いて剣術を練習していたのがイルというらしい。その子がこちらをむいたとき、ヘリオははっとした。顔の半分が白い。いわゆる色素がない子なのだろうか、そうした子がどういう扱いをされているか聞いたことがあった。南方の部族の間では、魔術の生贄に利用されるとか。

「おにいちゃん!」

「……」

 イルは白い方の右目をおおいながら、隠れていないのに隠すようにしてこちらにきた。

「こちら、“予言の巫女”のヘリオさんだ、これからお前たちの仲間になる」

「けど、魔女には見えない」

 ヘリオがそういわれて恥ずかしそうにツノをみせると、イルは、突然舌打ちをしてさっていった。

「すまない、あの兄弟は魔女に親をやられてな、特に、兄の方はそれを間近でみていたんだ、ガウォン、挨拶しよう」

「こんにちは!!お姉さん!!」

「こんにちは!」

 ガウォンといわれた弟の方はひとなつっこく、あまりこだわりのないヘリオですら、子供のかわいさをかんじさせ、思わず頭をなでてしまった。

「まあ、そういうわけで、君はまだ子供だ、外の世界ではどういう扱いになるかしらねえが、うちでは16になるまでは子供として育てる、細かい事は気にするな、できる事をすりゃいいさ、特訓、勉強、掃除、大人の手伝い、お前はまだ子供なんだからな」

 そういってヘリオの頭をなでるジョンストン、その雰囲気だけで、確かに彼がここのリーダーらしいと感じられた。それに子ども扱いされるのは、転生前のいつぶりだろう。16で大人、外の世界よりは、子供の子供扱いが似ている気がした。


「あの……」

「ん?」

「さっきの盗賊の扱い、どうなるんでしょう?」

「……」

 ルトーとジョンストンは顔を見合わせた。そして笑った。

「ああ、さっきの盗賊たちか、心配するな“オキテ”はうちのものに厳しい、どうしても許せないこと以外は“極刑”はねえ、奴隷にするか、よそへうっぱらうだけだ」

 

 

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