静寂、夜になるまで。

 街は、ぼろぼろの建材や、廃材のようなもので形づくられているが、その割には清潔感がただよっている。“フウカ”といわれる人々の身なりも、様々といった感じだった。たしかに貧相な身なりのものもいるが、ただ、ひときわ人と違うわけでもなく、こぎれいにしているのをみると、どうやらこの街は、お互いを助け合っているように思えた。

「ちょっとまっていてくれ……」

 ルトーにそういわれてから、街の中央で30分近くまたされた。

「すまない、遅れた」

 そういうルトーの背後には、知らない女性がいた。

「……私を知らない、そういう顔をしている」

「そりゃそうだろ、ヨーン……君も人見知りを直したらどうだ?」

「違う、私は人見知りされる方よ」

「はあ、また屁理屈か、こちらが予言の巫女、ヘリオだ」

「彼女は、そう呼ばれる事に違和感がある」

「なに?確かにそうか、まだ説明もしていなかったしな」

 女性は、どうやら人の気持ちをわかる能力か才能があるように思えた。女性の瞳は水晶のように澄んでいて、姫カットのように前髪が後退し、ところどころがそろった髪型をしていた。紙はロングで肩より下に少しある、また幼く感じられ、頬には星をあしたらったペイントのようなものをしていた。また小さなシカのツノのような飾りもつけていた。


「じゃあ、君たちの宿泊所はここにしよう」

 まるで簡素なプレハブ小屋のような場所に案内された。客に提供するものとしては、あまりにぼろい。だが、贅沢はいってられない。無一文である事をいうと、そのことを悟っていたかの様に、住居を提供してくれたのだ。

「まあ、ここの生活になれれば、貨幣より価値のあるものに気づけるさ」

 そういって、男は妙な銀貨をさしだした。

「すごいだろう?これがここの硬貨だ、一部の街ではきちんと取引ができる」

 ルトーの手にはには、龍にまたがった男のデザインをあしらった、銀貨がにぎられていた。


「リーダーに会いたい」

 ヘリオがそういうと、彼は、とまどっていたが、どうしてもと懇願すると

「そこまでいうなら」

 といってヘリオを案内してくれたのだった。


 そこは、クレーターの崖の上をくだって、横穴を抜けた先にあった。そこもまた巨大な大穴のようだったが、日光がさす場所で、コケや雑草や花々が生えている、小さな街角ほどの広さはあるだろう豊かな場所だった。

「ジョンストン……予言の巫女がきたぞ」

「……その呼び名は……」

 ヘリオが水をさす。

「ああ、すまない、そうだったな、君は気に入ってないらしい」

 ジョンストンという男は、身長が190近くあり、その割には機敏で常に体を動かしている様子があった。あごひげをはやし、めずらしく下あごに八重歯が目立つ。繭は端っこがバーコードのように奇妙にところどころかけ、眉間に皺が寄っているが、瞳は青く光り輝いていた。

 彼の背後に、小さな少年がいた。さらにその奥に距離をとった場所で、別の少年が剣を振る練習をしていた。さらに奥地ではもっと大勢の人々が、魔法や剣の特訓をしていた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る