小競り合い 幻矢使い、ルトー 幻術使い ヨーン 予言の巫女

 駆け上がる途中で、レネとすれ違う。

「ヘリオ!!駄目よ、これは大事になるって、だから彼は、ウィードは私を先に砦の中にかくれろっていったわ、あなたも……」

「そんな訳にはいかないよ!!」

「でも、あなたまだ傷だらけでしょ、どうやって……」

「どうやっても、こうやっても!!」

 背後で、大声がきこえた。

「ウィードが、ウィードが“あれ”を使うぞ!!」

「皆備えろ!!地形が変わる!!!」


「えっ!!?」

 不穏な言葉をきいたヘリオは、レネを担いで一瞬で階段から飛び降り、クレーターの流れにそって落下しはじめた。

《イヤアアアア!!!》

 レネは、顔をすさまじい形相にゆがめている。この淑女らしからぬ様子、村でのいじめっ子のときの事をおもいだす。そうだ。彼女は何もかわっていない。その部分があいらしかった。握りつぶしたいほどに。

(??)

 自分の中に不穏な感情を察知したあと、飛び上がって、入口門付近に着地する。衝撃は足に水を生成しふせいだ。


 ふりかえり、めをうたがった、ウィードは、体の上半身が徐々にふくれあがり、二倍にも3倍にもなろうとしていた。その瞬間だった。

《パシュン、パシュン、パシュン!!!》

 見張り台の上から、矢を放つ音がした。その矢は、階段をおりてきていた3人の盗賊に命中し、彼らは皆、ずるずるとクレーターを転がりおりてきた。

「皆!!落ち着け!!お前たちは統率さえ取れれば優秀な軍隊なのだ、ジョンストンを頼りすぎるな、彼は今“育成”に忙しいのだ」


 三人の盗賊がクレーターの底、入口に落下すると、兵士たちがわらわらと集まって、彼らを門の中へ引きづっていく。はるか上のクレーターの“フチ”では、上半身が巨大化したウィードの姿をみて、敵は恐れをなしてにげだしていった。ウィードのその顔は、耳が生え、毛が生え、まるで狼のような姿になっていた。だが後ろを見下ろすと、ウィードはほっとしたように、元の姿に戻るのだった。


「すまないな、初日からの不手際で、君が“予言の巫女”ヘリオだろ?」

 盗賊たちを仕留めた射手が、いつのまにか見張り台からおりてきた。長髪を後ろにたばねて前髪が左右に二本たれている、目はおおきいが、上瞼が半目のようになっていて、鋭さもある、鼻は丸くたかい、面長の顔は、ひょうひょうとした様子を感じさせた。そして手を伸ばす。なぜか、その言葉にニヨネは苦い顔をしていた。

「あなたが……“レッドウィッカ”のリーダーですか?さすがです、あなたの力」

「プッ……あはは!!あっははははは」

 周囲を見渡して、その男は、我慢もせず無邪気な笑顔で笑って見せた。

「僕はナンバー3の、ルトーだよ、よろしくね」

 ヘリオはその手を握り返した。



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