魔法盗賊
「この先です、行きましょう」
ウィードが突然声を出したので驚いたが、隣でニヨネが説明してくれた。
「この人ね、リーダーっぽいことをやるときには突然はきはき喋るのよ、面白いでしょ」
といって、わけもなくウィードの脇腹をつついた。よろけるウィードは、
「ファイッ」
と甲高い妙な声をあげた。
階段は、斜めにおり、しばらくすると軽く反対側におり、また反対に、という感じでよく見ると、完全なずっと斜めの形状ではなかった。しかし、気を無理やりクレーター部分に杭でうちつけたようで不安な構造だったが、ニヨネ曰く、魔法を利用しているため、階段に問題があればすぐに察知できるらしい。かつ、定期的な点検もしているから問題がないという。
ヘリオは先頭を行くことにした。続いて、まだ足取りに不安が残るユラン(まだエイブスのこの本名にはなれなかったが)と、彼を支えるネーラ。彼らを下から補助するのがヘリオだ、それをはさむようにして、ニヨネ、その後に続いたのが、レネだった。最後に後方の安全確認をウィードがつとめた。
急いで集中していたからか、ヘリオとニヨネ、ユラン、ネーラは先に地面についた。治療もまだ必要だというので、彼らはすぐ病院へと向かった。そのあと、ヘリオが奇妙におもった。あまりにも遅くないか?後続のレネとウィードが。その時、ちょうど村の入りぐちにあった見張り台の上で騒ぎがおこった。
「敵襲!!敵襲!!!」
「おい、なんで気づかなかった!!」
「いや、今の今まで何もなかったはずだ!!」
「あれは……ウィードか?なるほど、彼なら"察知"が早かったはずだ……でもなぜ知らせを……」
「ウィードのほかに誰かいる」
ヘリオは振り返った。そして上をみあげると、ウィードが、上空の階段の上で、みすぼらしい格好をして、ツギハギの鎧をつけた、見るからに族と思しき人間たちとたたかっていた。レネはその下を、急いで駆け下りていくのだった。
ヘリオはすぐに察した。
(きっと、怪我人を抱える私たちを安全に運ぶために、この敵襲を知らせなかったんだ!!)
見張り台の人々が口々にいう。
「ここからじゃ、的確に敵だけを狙えない、どうする?」
「どうするったって……衛兵に連絡するしか……歩兵部隊だろ」
「しかし……みるからにヤバそうだぞ、いくらウィードといったって、ああ数がおおけりゃ」
崖の上にわらわらと10~15人はいるだろう軍団がウィードに石をなげたり、簡易的な魔法、ファイヤボール、ブリッツなどをかけている、巨大なシールドによってウィードはそれを防いでいるが、不安定に押され気味に階段をおりてくる。
ヘリオは、気づいたら駆け出していた。
「おい!君!!」
門番が止めるのも聞かずに、一目散に階段を駆け上がった。
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