牛の毛のような細い糸が空を渡った時、初めて劉備の後をついてきたハンサムな男が最高の達人であることが分かり、改めて劉備に対する見方が高くなりました。

「子龍は、うまくいきましたか」張飛は興奮して言いました、他の人はあのきれいな糸が何を意味するか分かりませんが、張飛などの達人はすでにその一本一本の糸の中で流転している金を切って玉を切る力をはっきりと感じました。

趙雲は、首を横にふって、「せいぜい、油断している間に、狼狽させる程度のことで、彼を傷つけるはずはありません。」

趙雲が予想した通り、呂布はこの反撃を予想していませんでしたが、天下第一の巧者の勘として、危険が迫ったところで勝手に趙雲の攻撃を打ち破ってしまいましたが、その余波で城門楼子下の女墻の一部は粉塵となり、その他の箇所には針の穴ほどの丸い穴が一つずつ残っていました。

「いい攻撃ですね」呂布は、十八路の諸侯の方角をながめて、それ以上手を出さず、じっとその場に立って、相手の来るのを待っていましたが、この達人こそ、斬るに値します。

趙雲の言葉を聞いて、張飛は、自分の呂布に対する勝率が、また少し下がったことを知りました。少なくとも、趙雲の一撃が、自分の頭に飛んでくれば、死なずとも皮を剝がねばならないことは、よくわかっていましたが、呂布が油断している間に、趙雲の言葉を聞いて狼狽するしかありませんでした。

けれど張飛は、それほどの畏怖もなく、むしろ胸中に戦意蓬髪を起し、手にした蛇矛は、ますます固くなっていた、強者と戦うことこそ、彼を強くするものであり、武者の宿命は戦場で死ぬこと、その前に天下第一の者と戦えば、何の不満もありません。

なによりも、張飛の戦いは、いつまでたっても前進あり後退なしであることを知っていて、退いてしまうと、本来の心を失って、いつまでたってもそこで止まり、からだが強くなって、かえって力が落ちてしまいます。

蛇矛をにぎりしめて、張飛の体からは、はつらつとした戦意が、呂布を一人で選ぶ、負けるとわかっていても一人で選ぶ、負けるのは怖くありません、恐るべきは、相手の強さを見ても、手を出す勇気がありません、と告げていた。

十八路の諸侯は、袁紹の下に、何のごまかしもなく、虎牢に臨んでいましたが、董卓はそこに坐り、呂布は方天画戟を握って立っていました。

「奉先、お任せします」董卓は、大きく手をふって、呂布に向うの鼠どもを討ってやるようにと、合図しました。

呂布は、十丈も二十丈もある城頭から、飛び上がって、どんと落下しました。そんなことは、どんな武者でもできたのですが、次に起こったことは、知る者の心を半ば冷たくさせました。

城高に加えてジャンプ、呂布ほぼ百数十メートルの空中から重い落下、速度は明らかにわざわざ速めたが、驚くべきことは、そのような高い速度で落ちてきたが、大地を砕かせていませんでしたが、人にわずかな振働を感じた、落下の力の完璧な拡散は、何のダメージを与えていませんでした。

張飛はおどろき、関羽は半眼、華雄は額をおおって、趙雲だけが眉をひそめていましたが、呂布はただ強いだけではなく、その力の一点一点に恐怖を感じ、その力のコントロールを微かに示していました。

と、天の彼方から、一すじの火線が、呂布のそばへ飛んで来て、赤兎のように、鼻を鳴らしましたが、呂布は、方天の戟を持って、馬の背を越えて、向こうの数十万の大軍を見ると、ものすごい勢いで、挑みました。

張飛は怒って飛びかかろうとしましたが、関羽に引っ張られてしまいました。関羽の冷たい顔を見て、関羽の機嫌が悪いことを知った陳曦は、改めて趙雲を見ました。趙雲もやはり不機嫌そうな顔をしていました。呂布がやっていることは、ぱちぱちと顔を叩いて、しかも衆目の前で丸くすることです。

顔を殴られたのは、むっとしたものですが、袁紹が何かいうと、王匡が、「誰か、出陣する者はありませんか」と、大声でたずねた。一人がとび出してきたので、王匡が見たのは、河内の名将方悦でありましたが、王匡が口をひらく前に、巨大な弧刃が走って、名前も紹介していない方悦は、姿を消してしまいました。

人々は、思わず唾を呑んでしまいましたが、呂布の凶暴さは、言葉では言い表せませんでした。

さて、陳曦の言葉を待たずして、死をも恐れずに突進しますと、今度は張揚の部将の穆順が、先に三刀を振るって、人と馬ごと二つに斬り裂かれましたが、呂布は動かなかったのです。

「文挙の恩を受けて十年になりますが、なぜ死を以てこれに報いませんか?」孔融の背後にいる大男は、呂布を見ると、最後に唇を舐めて、駒を進めて孔融に一礼しました。

「安国気をつけます」孔融はうなずいて、やはり武安を戦させることにきめましたが、彼にはこの有能な者がいました。

(武安国というのは本来は武安で、名国でなければなりません。漢末には二字の名は廃止されましたが、毛版も嘉靖版も名安国です。よろしい、私は孔融の方が字です。つまり武安、名国、字安国です。

武安国はうなずいて、のろのろと人込みを出て行きました。今までの二人の阿呆と違うのは、自分が呂布の敵ではないことを知っていたからです。しかし、彼が言ったように、孔融の恩を受けています。

数百斤の大鎚を持って、武安国は黙って呂布に向かって殺しました。馬は速くありません。いくらいい馬だからといって、重さが千斤に近いからといって、速すぎるとは思いませんが、彼には速すぎる必要はありません。

鈍いパンチの音と、「我を喰え」という咆哮が聞こえながら、武安国と呂布の戦いが始まりました。それほどの速さはありませんでしたが、力の強さは呂布に痺れを感じさせました。

技も速さも必要ありません。武安国舞の大鎚は、呂布に向かって頭を叩きつけます。呂布の反撃は、体の半分が隠れるほどの巨大な金槌で防ぎます。確かに、呂布の攻撃を見抜くことはできません。

「子川は、私がなぜ神の力を持った奴を嫌うのか、おわかりになったでしょう」関羽は、陳曦を眼で示しました。

「わかりました。恥知らずなニマです」陳曦は絶句して言って、純粋に力ずくで抵抗して、彼がどんな方向を攻撃しようと、私は大きなハンマーで殴りました。

二十回を過ぎても、武安国は頑強に金槌を振るっていました。衰勢は見られず、呂布を鉄鉱のように鋳造している様子でした。