2日目 処刑では無い(師匠談)



「ぎゃーーーーーー!!!!!!」

「五月蝿い、手元が狂う」

 僕は今、貼り付けにされてます。師匠は僕に当たらないギリギリの所を剣でブンブン振り回してちょっ!アブっ!髪の毛とんでった!これ何て拷問!?

「叫ぶ余裕があるから、スピードアップ!」

「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!」

 風圧が目に!

「だから五月蝿………」

グサッ

「あっ、ごめん」



「いや〜、めんごめんご。五月蝿くて、つい手元が狂っちゃった♪」

 嘘だ。絶対に嘘だ。おどけながら言ってるけど、剣が狙いすましたような軌跡描いてたもん。

「とまあ冗談はこのくらいでおいといて」

「冗談で僕は死んだの!?」

「定期的に心臓止めて再起動できるように訓練しないと、いざという時に再起動できずにそのまま死ぬから危ないよ」

「普通は再起動でにきねぇよ!」

「心臓突き刺しても、最終的に生きていれば問題ないよね」

「あるよ!」

 ダメだ、日本語なのに話が通じない。

「そうなの?」

 いや、首を傾げだれても。もしかして本気でそう思ってやがります?

「心臓止まっても回復アイテム使えれば生き延びたりできるんだけどなぁ。他にも叩いて無理やり動かすとか。それで何度も助かった身としては、もっと心臓止まることに慣れた方がいいと思うぞ」

 それ貴方だけです。

「まあいいや」

 よくねえよ。

「それより、予定を変える」

「あの、そもそもどういう予定か聞いて無いんですが」

「本当は1週間くらいは基礎の走り込みと、時々死にながら動体視力を鍛える予定だったんだが」

 あれ、意味があったんですね。あと時々でも殺さないでください。いや、そもそも基礎の走り込みで死ぬ意味がわからない。

「悲鳴が上がるから見えてるもんな。速すぎると見えなくて悲鳴上がらないからな」

 それが叫ぶ余裕なのですね。もう叫ばない。

「ちなみに、叫ばなくても目を見たら見えてるかわかるからな」

 釘を刺されたよこんちくしょう。

「最後の方のは冒険者ランクBが見失うくらいの速さだ。まあ、Bの下の方にあたった可能性もあるが」

 それ、どれだけ凄いのかよくわからない。ちなみに僕のランクはF、というより最下層である。

「うーん。モチベーションに関わるから大雑把な予定決めとこうか」

 いや、それ初日に言ってください。

「まず覚えるのはカウンター。これは攻撃力が足りないから敵の攻撃力を利用する技法だ。目の良さもあって適性はあるだろう。こっちから殴り倒せるのがベストだが」

 ここでも出てくる才能のなさ。

「ゴブリン、最下級のモンスターくらいなら普通の武器でも当たりどころさえ良ければお前でも倒せる。が、目指すところはもっと上だろ?階層的に下か?」

「強い武器があればいいのでは?」

「当たらんやろがい」

 何も言い返せない。

「あと、攻撃力が足し算で計算されるなら強い武器を持てばいいが、実際は掛け算の方が近い。

かっこ 筋力 マイナス 武器ごとの補正まるいち かっこ閉じ かける かっこ 器用さ マイナス 武器ごとの補正値まるに かっこ閉じ かける 武器攻撃力

 注 補正値は武器攻撃力が高いほど大きくなる傾向がある

 みたいな計算法だ」

 この人はいったい何を言ってるのだろうか?文字に起こしてくれないとわからない。あと、文字にしてもカッコとかマルイチマルニがややこしさを上げてると思う。

「銃とかアイテム、魔法やスキルが絡むとこの限りではないが、能力値が足りないなら弱い武器の方がダメージを与えやすい傾向にある。強い武器を使いたいなら基礎能力値を上げろ」

「あっ、はい」

 とりあえず筋トレすればいいのか?

「自主トレで筋トレするのはいいが、訓練メニューにはないからな」

 あっさり心を読まれた。

「ちなみに筋トレが時間の無駄とかいう意味でなく、筋トレする必要が無いくらい武器を振らせるつもりだからだ。あと、栄養学には疎いんでプロテインとかは調べて自費で買ってくれ」

「師匠、疎い割には筋肉しっかりついてますよね」

 いわゆる痩せマッチョだ。しかも身長も高い。

「戦いまくって、他に食い物無かったからモンスターの肉食いまくっただけなんだがな」

 ちなみにモンスターの肉、凄く苦い。植物系モンスターも魚介類系も苦い。ものによっては車のタイヤのような味がするほどに不味い。あと、タンパク質は牛乳や卵の方が効率がいいので、筋トレするならプロテインを摂るべき。他には、モンスターの肉を食べても強くなるということはない。

 結論、モンスター肉を食べるのは飢え死にする直前ぐらいで、食べるべきではない。つまり、師匠は飢え死にしかねない環境で育った事になる。あと日本初め世界各地でダンジョンが産まれ初めたころ、モンスターが溢れかえって農地をむちゃくちゃにした結果、地球産食料の値段が10倍以上に上がった事がある。僕が産まれるずっと前の話だが。

「話を戻すがカウンターの修行だ。しかし道具の都合もあるから、明日だな」

 よし、無事(しかし一回死んでる)終われたな。

「じゃあ時間も空いたし、走るか」

 そう言うと師匠は封をされたツボを取り出した。おそらくマジックバックか何らかの道具を使ったんだろうけど。

「そのツボは何ですか?」

「モンスター封印の壺」

 そして封を開ける。出てkダッシュだ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろーーー!!!

「うん、いい判断。じゃあ襲え!サーベルトライオン!」

「グオーーン!!!」



本日のリザルト

  動体視力が上がった

  スピードが上がった

  スタミナが上がった

  根性が上がった

  メンタルが大きく下がった


 


        本日の死亡カウンター  14

        通算死亡カウンター   46

 


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