夢なのか現実なのか、その境界を意図的に曖昧にしたまま進む1話完結の短編。黒尽くめの隣人、階段の踊り場、背中のナイフ恐怖の文法は古典的だが、「なぜか驚かなかった」「なぜか感謝した」という主人公の奇妙な受容が、単純なホラーとは別の不安を生む。目覚めたら傷が本物だった、という着地が静かで、そのぶん怖い。1278文字でここまで余韻を残せるのは、純粋に技量だと思う。
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