第33話 大脱出大脱走

「先輩!早く逃げましょう!」


 ツツジは珍しく冷や汗をかきながら焦っていた。


「まて!逃すかよ!!」


 ボスの手下達は起き上がると戦闘態勢をとった。どうやら完全に二人を殺る気だ。


「先にこいつら片付けますか」


 ツツジがそういうと、サツキは頷いた。


「そうだね」


 サツキとツツジは敵に向かって突っ込んだ。


 手始めにサツキは高く跳ね上がり跳び膝蹴り喰らわし、ツツジは飛び蹴りを決めた。

 手下達は二人の身体能力にビビり散らかしている暇もなく、気づいた時にはサツキに首をへし折られていた。


「死ねぇ!!」


 負けじとボスの手下達も殴る、蹴るなどの動きを取るが、簡単にかわされる。

 二人に攻撃をあてるどころか、空振りから間違えて仲間を殴ってしまう始末だ。


「てめえ!どこ殴ってんだアホ!」

「アホはてめえだ!」


 そんな喧嘩をしている間に、サツキは敵の頭を掴んでキャビネットの角に何度も叩きつけて殺す。

 そして、殺した手下が手放したナイフを拾い、振り返りざまに後ろから襲おうとしてきた男の首を切った。


「ごぼぼっ、、、!!」


 男は血でうがいをして倒れた。


 ツツジは万年筆を持って、攻撃を避けながら片っ端から確実に頸動脈にブッ刺していくと、赤い噴水があっという間にたくさん出来上がっていく。


 ほんの数分での殺戮で、あたり一面が死体で埋め尽くされた。


「先輩って相変わらず格闘面強いっすね」

「なるべく殺したくなかったんだけどなぁ」


 二人は壊された壁から外に出た。

 すると、さっそく遠方から何人ものボスの手下達がこちらに向かって走ってくる。


「居たぞ!」


 大した忠誠心だ。


 ツツジは庭園に置いてある手のひらサイズの石を拾い上げると、向かって来たやつらの頭をかち割った。

 サツキは丸鋸の芝刈り機を見つけたのでエンジンをふかして振り回し、片っ端から腹を切り裂き、頭をゴリゴリと切り、手足を切断していく。

 こぼれ落ちる体の中身。

 悲鳴をあげながら死ぬ敵。


 さて、その場にいたものは全員片付ければ次はどう逃げるかが問題となる。


「あのさ、どうやってここから逃げるの?」

「さっきトラックで突っ込む前に、この屋敷に入るため門をぶっ壊して来ました!そこから逃げましょう!」


 サツキはツツジが案内する門のある方向へと一緒に走った。


 するとツツジの言う通り壊れた門が向こう側に見えて来た。


「やった!ここから逃げれる!」


 だが喜んだのも束の間。


 門の外からは大勢の人間がぞろぞろと出て来た。

 しかも普通の人間じゃない。

 一人一人見ていくと、凶器を空中に浮かばせている者や、体が火に包まれている者など、普通ならありえないことをしている人間ばかり。

 そう。彼らは全員改造人間なのだ。


「え、何これ」

「先輩。これは流石に人数が、、、」


 サツキとツツジはとても勝てるとは思えずその場で立ち止まってしまった。


「こうなるとは思ってたぜ」


 後ろから声がする。

 二人が振り向くとそこに立っていたのはスミカズだった。


「言っただろ?ここからは逃げられないと」

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