勇者や剣聖が明るく爽やかに敵を倒していく――そのような物語ではありません。
ただ勝つために貪欲で、時には騙し、時には欺き、最強を目指し、金銭も勢力も女も手に入れていく――そんな話です。
でも、だからこそ目が離せません。
主人公エイクがそこまで貪欲なのは理由があり、それは「弱かった」から。
「弱かった」からこそ最強を目指し、あがいて、もがいて、そして嘲っていた奴らに仕返しをして、のし上がっていきます。
ピカレスクロマンといった風ですが、エイクが戦いに臨む姿勢、戦いへの備え、そして実際の戦い方など、この国の武芸者――もし宮本武蔵が異世界にいたら、こうするのではないかという面白さがあります。
そして何より、エイクが父の仇を倒そうと目論む中で、さまざまな敵があらわれ、挑み、戦っていくという、一連の流れが、これでもかと出て来て、読者を飽きさせません。
また、世界観説明の回もありますが、それもウェブ小説ならではのことで、こういう回があるおかげで、お話の深みが増しています。
ぜひ、ご一読を。
決して勧善懲悪ではない、「恐ろしい」異世界ファンタジー。
主人公のエイクは王国最強と言われるガイゼイクの子でありながら、なぜか力が弱くゴブリンともまともに戦えない。
治療師と名乗る不思議な女性に出会い、エイクは変わっていく……。
序盤では、エイクが置かれる状況はあまりに辛いものであり、治療師にもどこか恐ろし気なところがあり、読者もまた辛い気持ちになるかもしれない。
だが、エイクが努力を続け、また力が弱かった「原因」に気づいたことで、彼は大きく変化する。その変化は決して良い事だけではないのだが。
きれいごとではない、どこまでも恐ろしい物語。気になった方は、ぜひ。
少年エイクは弱い剣士だった。
狂気のような鍛錬を何年も自らに課してなお、その身に強さは得られなかった。
彼は周囲に落胆され蔑まれ虐げられていた。
それでもエイクは、強さを諦めはしなかった。
英雄と称された父。憧れの父。
徒に時間と資金を潰して鍛錬をするエイクを支えた唯一の肉親である父。
その父が死んだ。
死後、父は周囲の者たちの悪意により名誉も財産も、築いたすべてを奪われた。
エイクは父を貶めた者すべてを憎む。
父と自ら仇なす者たちすべてに復讐する。
男は殺し女は犯す。そう心に決めた。
自身を悪と断じたエイクは、父の復讐を誓い、未だ得られない強さを求め続ける。
これは狂気じみた執念と努力で数奇な巡り合わせを手繰り寄せる強者の物語。
悪漢による復讐譚であり、最強を追い求める者の戦記でもある。
この物語を読む者は、物語世界が結末へと向かう道程を追わずにはいられないだろう。
なぜなら、それだけの熱量と衝撃がこの物語には込められているからだ。
この読めば、きっと感じられるはずだ。
体内に宿るオドの力で身体強化や魔法が使える世界。
主人公は英雄の子として生まれながらオドが極端に少なく、虚弱な生を余儀なくされます。
強くなりたい、その渇望による苛烈な訓練は身を結ばない。
周りはそんな彼を嘲り、訓練と称したいじめを課し、さらには英雄である父を死後貶め、主人公からすべてを取り上げます。
絶望の中で、やがて彼は自らのオドが何者かによって奪われていたことを知り、力を取り戻したのです。
そこから始まる復讐と苛烈な暴力。
練りこまれた設定と駆け引き、手に汗握るバトル、時に差し込まれるエロス。
物語のだいご味が詰め込まれたファンタジー、是非ご一読を。