⑤-2

「わたしが、、、不細工?」


莉子は言われ慣れてない言葉を理解することはできない。


「おい、大丈夫か?」


高木主任は莉子に問いかけた。


「大丈夫なわけないじゃん!!なんなのこの女!!本当にムカつく!披露宴だよ?!莉子の大切な披露宴だよ?!」


ものすごい形相の圧に高木主任は少し引いた。


自分が投げたコップで血を流す人間が目の前にいるのに、莉子はそれに対してなんの反省もなかった。

暴虐無人なその姿はまるで昨日の残酷な叫び声を楽しんでいた光景を思い出す。




ルリコウみたいな奴だな。くくくく。

なぁ、どうだ?こいつが憎いか?俺がこいつに取り憑いてやろうか?憎いだろ?疎ましいだろ?

呪いたいだろ?




のどかの右肩に歯並びの悪い口が薄気味悪く笑う。




増やそうとは思わないか?

同じような不幸を味わえさせればいい!

他人を不幸の井戸に引き摺り込もうじゃないか。

そしたら、、、寂しくないだろ?




「うぜぇ」


のどかは自分の右肩を強く掴み捻り上げた。


「は?」


莉子はのどかに目を向ける。


大きく深呼吸をしてのどかはまっすぐと莉子をみて伝えたいことを口にした。


「きっとあなたは私の存在が不愉快だったんだと思う。高木主任が私のことをよく面倒を見てくれていたし、それは上司としての仕事だっただけなのに、あなたは嫉妬していた。不愉快が募り、それがいろんな行動に出てしまった。だけど私はどうでもいいと思っていたし、それに誰か人を疑いたくはなかった。だけどもう確信がついた。でもこれまでのことは責めたりしないし償って欲しいとは思わない。やり返したりもしない。だから安心して欲しい。でもこの後は違う。今、私はあなたに警告をしているの。もし今後、同じようなことが繰り返し起きたら私はあなたに何をするかわからないし、さっきの唾に絡めたらホッチキスの芯を今度はあなたの目に刺してくり抜く気持ちの準備はできているから用心したほうがいいし、ダムが崩れれば放水した水が止まることはないのと同じようにそれだけじゃ済まなくなってしまう。嘘だと思う?嘘じゃない。私はあなたのその顔を痛めつけることになんの抵抗も感じずにぐちゃぐちゃにできる。それほどの怒りを蓄えている。いい?もう一度よく聞いて。これは警告であってあなたは自分を自分で制御したほうがいい。欲望を制御して他人を痛めつけることをやめれば私はあなたに対して何もしない。だけど、同じようなことを今後も他の誰かにも繰り返すのであれば、、、、。」


ドン!!!


のどかはテーブルの上に置いているフォークを手に取り握りしめて、新郎新婦の前の机に突き立てた。


「その時は容赦はしない。これで、くり抜いてあげる。その目も、鼻も、、、綺麗に揃えた、歯も全部。だって私はね、、、。」


ちらりと明希さんのほうを見ると、グッジョブサインをしている。



「私は、あなたの存在が、とても不愉快だから。」




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