第23話 出所
衛兵の人達に怪しいお兄さんと僕たちの三人全員拘束されて門の中にある取調室へと連れてこられた。
でも今この狭い部屋で一緒にいるのは何時も一緒にいるアレックス、ではなくムスッとした顔をした門番2人組なんだ。
アレックスと怪しいお兄さんはそれぞれ僕と同じように一人づつ分けられて衛兵と一緒に個室へと入っていってた。
僕は一番最後にこの部屋へ案内?いや、そんな優しい感じではなかったけど、案内されてこの部屋に来た。
「で?あそこで何があったんだ?正直に答えないと最悪牢に入れないと行けなくなるからな」
「えぇ!?そんなの困りますよ!僕達これからダンジョン市国に行って冒険しなければいけないんですよ!?」
「まあ落ち着け。お前らが捕まることはよっぽどな事がねぇ限りほとんどねぇよ」
部屋に入り腰掛けたところで門番の人達の顔が急に柔らかくなって僕の事を捕まえないなんて言う。
「じ、じゃあなんでこんな所に連れてきたんですか??」
「しょうがないだろう?揉め事を起こしたからには双方から話を聞かなければいけない、というルールになってるんだよ」
「冤罪を作ってはいけないからね」
そう言ってもらって確かに気は楽になったけど取り調べを受けているあいだはやっぱりここにいなきゃなんだね...。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ン〜ッ!フゥ...。やっと終わったぁッ!結局出るまで滅茶苦茶質問されて疲れたぁ」
「でもよ、疲れたのは分かるけど、まじで急いで飯探さねぇと俺腹減りすぎて死んじまうよ!!」
あれからずっと取り調べを受けてて、あの狭い部屋から開放されたのはもう日がもう真上に来る頃だった。
最初の予定だったら今日は朝早くにキャンプから出発してここに来て早めのお昼ご飯を食べるって感じだったんだ。
それがこんな遅くに解放されたもんだから僕もアレックスもお腹と背中がくっつきそうなくらいお腹が減っちゃった。
「そういえば前の街じゃあ俺ら串焼きばっか食ってたよな?」
「アハハッ、そうだったね。まあお金がなかったのもあったし、あそこのお肉すっごく美味しかったんだよね」
「そうそう、どの屋台に行っても美味しかったんだよねぇ。...節約にもなったし」
「たしかにな!!」
何はともあれご飯探しの始まりだね!!こうやって知らない街の中を探検し回るのも旅の醍醐味って言う奴なんだろうなぁ!
これで違う国とかいったらぶんか?って奴も違って更に更に遠い所に行くと僕たちとは肌の色が違う人もいるんだ、って村のおっちゃんが言ってたんだよね。凄く楽しみだなぁ。
「でだ!結局何食うんだ!?俺あそこの店行ってみたいんだけど!!」
「ん?ああ、そうだね。あのお店なんだろう?串焼きじゃあないのは分かるんだけど...」
「んな事言ってねぇで兎に角行ってみようぜ!?売り切れちまったらどうんだよ!」
確かにね。
とか言ってるうちに、もうアレックスは屋台の方に行ってるじゃん!?僕も急いで追わないとどんどん間にお客さんが並んでいっちゃうよ!
「おばさん!僕たちこの街に着いたばっかりなんだけど、ここでの定番お肉ってあるかな!?」
「誰がおばんさんだねッ!?まだお姉さんだよ!で?定番の肉かい?そうだねぇ、ここじゃマッドシープがよく取れるからそれの料理が安くて新鮮だよ?」
「羊の肉っすか?良いですね!アレックスこれ二本づつ買わない?」
「いやいやスミス、もう一本くらい買わねぇか?取り調べが長かったから俺もう腹と背中がくっつきそうなんだよ...」
出来る事なら僕ももう一本くらい買いたいけどもうホントにお金が無いんだよ。
「アレックス、これが限界なんだよ。それでも食べるって言うんだったら今日は宿には泊まれないけどいいかな?」
「あんたら、そんなにお金が無いのかい?...うーん、しょうがないねぇ。一本追加で好きなの持っていきな!」
「おばちゃんいいのか!?」
「いいよ、そんな話目の前でされちゃああたしの目覚めが悪くなっちまうからね」
「いや、ほんとすみません。決してわざとこんな話をしよう思っていた訳では無いんですけど...」
「そんな陰気な顔しなくてもいいさ!アンタら冒険者だろう?これ食って元気にマッドシープを買ってくれりゃあいいのさ!」
屋台のおばちゃんは快活に笑いながら僕達が指さした串焼きを手際よく焼き直して紙袋に入れていってくれた。
料金を払ってまた冒険者ギルドに向かって歩きながら宿屋を探しているんだけど、これが中々また表通りの宿屋は僕ら三流冒険者が泊まるには高い、高すぎる。
「なぁ、これはまた裏路地にあるような宿屋に泊まるしかねぇかな??」
「いや、どうだろう。出来たら表通りにある宿の方がいいんだけどね。その方が治安がいいだろうし」
これまた村にいた冒険者の人に聞いたんだ。大きい街になればなるほど変な人もいっぱい出てきて、中には人のものを勝手にとっていく人もいる。って。
前の街でギルドで紹介された所に行ったらいい宿にたどり着けたし、今回もここでギルド登録とどんな依頼があるかの確認を終えたら受付嬢さんにいい宿を紹介してもらおうかなって思ってる。
...出来たらお安いところで。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます