第16話 気になる味
ギルドの寄って依頼の報酬を受け取った僕たちはルンルンで夜のご飯を探しに市場へとやってきていた。
市場では当然店を構えて色んな品物を売っているのだけれども、そのお店の前に絨毯の上に商品を並べていたりとか屋台で食べ物を売っていたりとか多分僕、毎日ここに来ていても飽きない自信があるね。
そんな市場には今回、晩御飯に串焼きパーティをアレックスとする事になったからちょっと贅沢目に一人五本位の串焼きとパンを買おうとやってきた。
「にしても串焼きって一言に言っても色んな種類の肉があんだなぁ...」
そういうアレックスの顔は既にそれぞれの肉の味を予想しているようなだらしない顔をしている。もうちょっとでヨダレが垂れそうなんじゃないか。と言うくらいに。
「イノシシに羊、牛、馬、ここなんてカエル肉なんて売ってるよ!?どんな感じなんだろう...?」
「お!そこの兄ちゃんこのスワンプフロッグの串焼きに興味があるのかい?こいつに目をつけるとは、兄ちゃん達、さては通だね?」
ツ、ツウ??ツウってなんだろう?でも何だかツウって言うのかっこいいなぁ。何ていう意味かはわかんないけど。
「おっさん!分かるか?やっぱり、す、すわんぷふろっぐ?っての食べたかったんだよね!俺、ツウ?だから!」
「ア、アレックス...。多分それのせられてるよ...!やめた方がいいんじゃない?」
なんかこのおじさん話し方が怪しさ満点でちょっとおかしい気がする。
値段とかは、うーん?他の店と対して変わんない気がする。
「いやでもカエル肉ってちょっと気になるくね?騙されてもいいじゃん!!二本買って味見してみようぜ?」
「いや、うーん。まあいっか!うん、買ってみよう!確かにアレックスの言う通りどんな味がするのかすっごく気になるしね!」
「お!買ってくれるのかい?他はなんかいるか?要らない?じゃあ二本合わせて30バーツだな」
僕からお金を受け取ったおじさんは手早く網の上で焼かれていたカエル肉とやらを取り紙袋に入れてくれた。
にしてもカエル肉かぁ...。アレックスに押されて買っちゃったけど、やっぱりどう考えても得失敗ったような気がするぅ...!
まあいっか、面白い味しそうだし。
「アレックス、あとは普通の味のヤツでいいよね?そんな変なのばっかりは嫌だよ?」
「えぇ!?いやいや、変なの探そうぜ?んで、どれがいちばんまずかったかってのやりたいんだけど俺!」
「お、落ち着いて?絶対に後悔することになるよ?しかも行商人のおじさんも言ってたじゃん僕たち田舎から来た人たちはよく騙されるって」
「そんなに心配しなくてもいいような気がするけどなぁ?さっきのおっさんもなんか親切そうだったし...」
アレックスはそう言いながらチラチラとさっき買った串焼き屋の方を振り返っていた。
そこからも僕たちは順調に屋台をめぐりながら串焼きを買っていき予定通り一人五本の串焼きを購入できた。
一番最初に買った帰るの肉を売っている店がすごく少なくって、更にスワンプフロッグなる肉を売っている店がなかった事がちょっと気がかりではあるのだけども。
屋台が多く並んだ通りから僕たちの宿屋に帰るついでに黒パンも買って、僕たちはようやく宿屋に帰ってきた。
「よっしゃ食うぜ!カエルの肉はやっぱり最後の楽しみに取っておくよな!」
「そ、そうだね?」
例のカエル肉以外は僕もアレックスも普通の焼串を買った。牛やイノシシ、あとは羊などだ。
勿論それらが美味しくない、なんてことも無く黒パンと一緒に食事を進めていった。
「フゥ、羊肉めっちゃ美味かったな!俺また明日からもこれでいいかもな!」
「ふふ、そんなに気に入ったんだ?じゃあ明日も串焼きにする?」
「おう、そうだな!だけどやっぱ最後の楽しみ、カエル肉が残ってる!...よし、いただきます!」
アレックスはニコニコしながら大きめの肉の塊が四つほど刺さっている串焼きを豪快に頬張った。
それと同時に期待に満ちニコニコしていた表情がどんどんと曇っていき眉間にシワがよった険しい表情になっていく。
「どうしたの?やっぱりそんなに美味しくなかった?」
「いやスミス、こいつァそんなに生易しいもんじゃねぇわ。感触はそんなに固くなくって美味しいって言えなくもないんだけどよ。コイツ、めちゃくちゃ泥くさいんだよ!こんなに臭かったら食えたもんじゃねぇぞマジで」
「そんなに!?え〜そんなに言うなら僕もどんな味するのか気になるなぁ。一口貰っていい?」
「おう、一口と言わず何口でも貰ってくれ。できることなら俺はもうコレは食いたくない」
そんなに言われると僕も食べるのを躊躇しちゃうじゃないか。
でも泥臭いって僕らドジョウとかも食べてきたはずなのにそんなに食べられないなんて事あるのかな?
「じゃあ、貰うね?フゥ...、アムッ!グッヘッ!確かにこれは確かに信じられないくらい相当泥くさいね」
「そうだろ?ハァ、やっぱあの時買うのやめておいたら良かったなぁ」
「それを言うのはもう遅いよ...。頑張って食べよう?」
こんなのでも捨てるのは勿体ないしね。
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