第15話 白いパン??

 ハルルの生えていそうな場所へとたどり着いた僕たちは依頼書に書いてある薬草の絵と地面に生えている草を交互に見ながら二人一緒に採取していた。


「おっ!多分これもハルルじゃねぇか?」


「ええっと...。うん、そうみたい!あと、これとこれここの奴もそうだね。この分だと夕方になる前に終われそうだね!」


 太陽が真上に差し掛かった頃、順調に集めてきたハルルの数は今や二十三本にもなっている。


「でもよ、これ、あとちょっとなのはそうだけどよ?三本あった木のうちもうラストだぜ?これ、また別の木を探しに行かねえといけないんじゃねぇか?」


「うっ、確かに。イヤイヤ、きっとここで集め切れるよ。それに確か街道を挟んだ向こう側にも木が一本生えてたよね。ここがダメでもそっちで取ったたらいいし」


「まあな。でもここで混んだけ集まったんならもうここで三十本集めきりたいな」


「そうだね。さすがにちょっと飽きてきたし、これ以上時間をかけてたら魔獣に襲われそうで怖いもん」


 本当はそろそろお昼ご飯にしたい気持ちもあるんだけど、怪我した時用にポーションを買うことを考えたらホントにお金が無くってお昼ご飯も買う余裕がなかったんだよね。

 旅を始める前はこんなにお金があっていいの!?なんて思ってたのにね。


「なあ、次の街に行くのさ?貯金いくら溜まってからにするよ」


「そうだねぇ。宿代とか旅の間の食費とか考えたら大体二人で5000バーツくらいは欲しくない?」


 この街の宿で一泊するのに250バーツかかって次の街に行くまで大体一週間位かかるらしいからご飯代は一日100バーツの一週間で700バーツ、あとは追加で水の容器とかも買いたいし、そういう細々したのを合わせたら一人2500バーツは最低でもいるんじゃないかな?


「マジかぁ、この依頼三十本で銅貨四枚で400バーツだろ?んで宿代で250バーツ、俺らの晩飯で一人20バーツくらい。先は遠いなぁ。...やっぱり討伐系の依頼を受けるべきだったんじゃないか?あれ確か一番安いゴブリン三体討伐で銅貨7枚とかだったろ?」


「うっ、でもさ怪我したら怖いしお金もかかるんだよ?だったら危険なゴブリン討伐よりも安全な薬草採取の方が良くない!?」


「あ?...まさかお前、ビビってんのか?」


「は、はあ!?び、ビビってなんかないし!ゴブリンでもコボルトでも余裕だし!!」


「じゃあこれの次はゴブリン討伐の依頼受けようぜ!」


「よ、余裕だよ!」


 あっ、と思った時にはもう遅く、言ってから売り文句に買い文句で討伐系の依頼を受けさせられたことに気付いた。

 アレックスはこの展開を狙ってたみたいで思いっきりニヤニヤしているし、この展開を狙っていたんだろう。


 ...正直、怖いんだよね。この街に来るまでにフォレストウルフに足を噛まれて、大量の血が出てきて。街に着くまでずっと痛いし辛いしアレックスには迷惑をかけるしで魔獣も怪我をすることも怖い。

 村を出るまで魔獣なんて怖くない、勝てる!と思ってた自分にもっと慎重になれ!って言いたくなった。そしたら戦う練習をもっとしてたのに。


 だから出来るだけ討伐は避けて採集とか街の中でできる依頼とかを受けたかったんだけど。


「...これで最後か。三十一本、か。ギリギリここで採集できて良かったな。でもまだ帰るには早くないか?まだ日も高いしよ」


「うーん、確かにそうだね。じゃあやっぱりが移動挟んだ向こうの木の所にも行ってみる?」


「そうだな。追加の報酬も欲しいし」


 それからも順調に僕たちは最終を進めていき最終的にはハルルが四十二本も集められた。


 太陽は段々と山の方へと隠れていき、街にたどり着く頃には空は赤くなっているだろう。


「んじゃ帰ろうぜ?今日の晩飯は何にしようかな?」


「うーん、スープは昨日食べたし...。チャージボアの串焼きとパンとかどう?」


 そういえば村に来てた行商人のおじさんが「金持ちの富裕層共は白くて死ぬほど柔らかいパンを食ってるらしいぜ?俺も一回食ってみてぇなぁ...」jなんて言ってたけど、僕たちの食べてるパンで10バーツなんだから白いパンって高くても100バーツもしないんじゃないのかな?

 そうだったら一回食べてみたいなぁ。...まだ露天で見たことないけど。どこに行ったら売ってるんだろうね。


「俺たちよく考えたら、自分で働いて金を貰うって初めてだよな!初めて自分で稼いだ記念でやっぱご馳走食おうぜ?」


「ダメだよアレックス。次の街に行くって話したばっかりじゃない。そんな理由で贅沢していたらいつまでもこの街から離れられないよ」


「え〜、スミスはケチだなぁ。じゃあせめて串焼きちょっと多めに買わないか?ほら、薬草十本くらい多く取れたしよ」


「むむむ、まあ、それくらいなら...」


「やった!!今日は串焼きパーティだな!!」


「そんなに買わないよ!?」


 大丈夫かなアレックス、そのうち全部のお金使っちまった!とか言い出さないよね??

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る