第13話 宿屋

 無事に冒険者登録を終えられた僕たちは受付のお姉さんに教えられた宿へと向かって歩いていた。

 場所としては、そう冒険者ギルドからも遠くはなく、周りのお店で何を売っているかとかを見ているとあっという間に教えられた宿に着くことが出来た、はずだ。

 ...この場所で本当に合っていればの話だが


「...ねぇ、本当にここにはいるの?」


「しょうがねぇだろ?あの人に教えられたのは間違いなくここだし、他に行くあてもないし」


「まあ、そうなんだけど」


 当然僕が渋るのには理由があった。


 それは...


「だってここ、廃墟でしょ絶対!!」


「シィーッ!ここの店主に聞かれたらどうすんだよ!?それは俺も感じてたけどよ、まあ、兎に角いったん入ってみようぜ?あんまりにも酷かったらすぐ出よう」


「むぅ、納得いかないなぁ」


 大体、ここに来る前からちょっとだけ変な感じはしたんだよ。お店が立ち並んでて「わあ、綺麗」なんて思ってたらこの宿見つかんなくてさ。

 んで近くにいる人に聞いたらちょっと嫌そうな顔しながらお店の影になってる狭くて薄暗い路地を指さすんだもんね。


 んで着いたらツタは絡んでるわ、店の前は掃除が出来ておらず落ち葉が溜まってしまっている。

 一言で表すならば『廃墟1歩手前』って言う奴であろう。


 覚悟が定まらぬままアレックスに手を引かれ、僕たちは宿の中へと入っていく。


 ...一応看板はかかっているの確認したし、大丈夫だよね??


「いらっしゃいませー!ご宿泊ですか?お食事でしょうか?」


「え?あぁ、こんにちは?2人泊まれます、か?」


「はい、大丈夫ですよ!ではこちらで受付をお願しまーす!」


 中に入るとそこには小さな女の子が1人カウンターに座って頬ずえをついていた。

 僕達が来たのがわかるとその子は退屈そうな表情から一変、ひまわりが咲いたような笑顔になりこちらへとタタタッ、と音が聞こえてきそうな勢いでかけてくる。


 カ、カワイイ〜!


 歳はきっと僕たちより小さいのだろう。背がとても小さく頑張って走っている様はなんだろう、とっても可愛く見える。


「お?珍しくお客さんか?アン」


「そうなの父さん!今ね?2人も来てくれてね?受付するところ!!」


「おう、そうかそうか。...ゴホン、いらっしゃい1泊1人250バーツだ。当たり前だが、前払いだぞ?」


「えっ、そうなの!?」


「なんだ、払えねぇのか?...ってか当たり前だろ?支払いを逃げられたらたまらんからな」


 な、なるほど。僕たち以上におかなが無くなっちゃうとそういう事をしちゃう、なんて事もあるのかな。分からないけど。


「そ、そうなんだ。ぇっと、その、僕もう使い果たしちゃってもうお金なくってさ、アレックス、悪いんだけど貸してくれない?」


「マジか、あ〜、まぁしゃあねぇな。今回だけだぜ?明日依頼こなしたらちゃんと返せよ?」


「うん、ごめんね。明日にはちゃんと返す、約束するよ」


 お金を返さない人間は絶対に信用してはいけない。少しのお金を貸して試すのもいいだろう。って父さんが言ってたし。


「おう、500バーツ丁度だな。部屋は二階の201号室だ」


 そう言って宿屋のおじさんがぶっきらぼうな感じで適当に鍵を投げ渡してきた。


 ...おじさん、そういう所だよ。ここが流行らない原因って。多分ね。...外も汚いし。


ちなみに部屋は2人1緒の部屋にした。出来れば一人一部屋使いたかったけども2人1部屋の方がお安かったんだよね...。


「お〜、ここか。早速入ってみようぜ?」


 受付の奥側にあった階段を登り、僕たちは2階に上がっていった。

 おじさんに指定された部屋を探すと2階に上がってすぐ、1個目の部屋が僕たちの部屋になっていたからすぐに見つけられた。


 部屋の中は思ったよりは狭いことも無く、2人で暮らしていても何ら不自由はない程度には広かった。


「なあなあ、スミス!どっちが2段ベッドの上で寝るか、公平にじゃんけんで決めようぜ!」


「望む通りだよ!今度こそ絶対に僕が勝って上で寝るんだからね!」


「行くぜ?」


「「じゃんけん、ポイッ!!」」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「う〜、また負けた〜!!」


「フッフッフ、スミス...。俺に反射神経で勝てると思うなよ?」


「毎回言ってるじゃん!!それズルだよ!アレックスに反射神経で勝てるわけないんだからさ!」


 そう、僕はアレックスにジャンケンとかそういう反射神経が絡むような勝負に勝てたことがない。というか村の皆アレックスが負けている所を見たことがないって言うんだから、それは勝てるわけが無いよね。


 必然的に僕が勝負を引き受けたところで負けはほぼ決まっているようなものだった、ってこと。

 いや〜、今度こそ勝ってみせる!って思ったんだけどねぇ。


「ねぇ、アレックス。今日はもうゆっくり体を休めるとして、明日は何しようかな?」


「それはスミス決まってるだろ?依頼だよ、依頼!どうせ俺たちこのままじゃ無一文になって宿にも泊まれない迷宮としにもたどりつけない、なんてことになったら困るだろ!?」


「う、うん。そう、だよね」


「どうしたスミス?他に何かやりたいことでもあんのか?」


「いや、大丈夫。だから依頼に行こう?その為にも今日はゆっくり休まないとね!ここの宿って夕食どんなのが出るんだろう?僕達村の外でご飯食べるの初めてだから楽しみだね!」


 そういうと、アレックスは怪訝な顔をして頷ずくだけで返事はしてくれなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

〜あとがき〜


読まなくても大丈夫です。

 でも聞いてくれると嬉しいです!

 ちょっと前に介護福祉士っていう国家試験受けたんですよ。でね?そのすぐあと2日後くらいに急にお腹痛くなって病院行ったらキツめの腸炎なってしもて。

 熱は39度出るわ、永遠にお腹痛いわでマジ地獄やった。

 しんどかったっす...。

 って言う話を何となく聞いて欲しかっただけ。


...以上!!

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