33 ボールギャグ(優也&雅樹)

 それを見せられたときは、どうやって使うものなのかまるでわからなかった。ベルトに穴の空いたボールがつけられた、奇妙な道具だった。


「色、悩んだんだけどさ。やっぱり黒だよね」


 雅樹はそれをぷらぷらと俺の目の前で揺らした。ろくでもないことになるのは明白だった。


「抵抗したらまた殴るから」


 そう言われても、既に手錠をされていた。どうすることもできなかった。俺はボールをくわえさせられた。そして、ベルトを固定された。息はできる。


「似合うよ。写真撮ってあげる」


 撮影されている間に、唾液がじわりと染みだした。止めることなんてできない。とうとうポトリとシーツに落ちた。ああ……そういう道具なのか。


「よいしょっと」


 雅樹は俺の足を大きく開かせた。そして、握ってきた。


「んんっ……」


 次から次から唾液が漏れてきた。雅樹の髪にかかったが、彼は構わず手を動かした。もう何をされても恥ずかしくはないと思っていたが、自分で自分の身体を制御できないことに混乱してきた。


「こんな状況でもしっかり勃つんだね。兄貴の淫乱」


 唾液だけではない。涙もこぼれてきた。こんな醜悪な道具を雅樹はいつから準備していたんだろう。

 舌でなぞられ、先の方を刺激された。そうされると弱いことを雅樹はもう知っていた。俺は頭を振った。唾液が飛び散り、もうグシャグシャだ。


「んんっ……んー!」


 アゴも痛くなってきた。しかし、俺が達するまで外す気はないだろう。早くそうしてくれ、と願うも、雅樹はそれを読んでいるかのように、舌をそらして付け根を舐めた。


「じっくりと楽しもうよ。せっかく買ったんだから」


 雅樹は手でこすりながら、俺の口元をちろちろと舐めた。キスなら何度もされていたが、こぼれた唾液を舐め取られるのは汚い気がして悶えてしまった。


「美味しい。兄貴から出るものは、一滴残らず僕のものなんだよ」


 諦めるしかない。何もかも。いっそ快楽に身を任せきってしまえば、余計なことは考えずに済むだろうか。


「好きだよ」

「んっ……」


 そうだ、雅樹は俺のことが好きなだけなのだ。俺だって弟のことを可愛く思っていたじゃないか。これは愛情なんだ。そうに違いない。


「んんっ……」


 俺は目を閉じた。刺激に集中できるように。楽しめばいいんだ。ほら、簡単なことじゃないか。


「いい顔になってきたね……やらしいよ……」


 雅樹の囁く声がとても甘美だった。

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