第80話
「そう、それでいいの」
千代女の言葉に、逆がおびえた顔を見せる。なぜ、心が読めるのか、そうおどろいたと推量された。それからはもう立て板に水だ。一度しゃべってしまうと、止めどなくなる者がいると事前に千代女に聞いていたが目の前の鬼がまさにその類の者だったらしい。
「我らに邪魔立てを命じたのは泰山府君だ。事由は知らぬが、推測はできる。元々は帝王であったというのに、死者の増加や人の信仰のあり様が変わったことで十王という、他に並び立つ者のいる地位に落ちることとなった。誇り高い御仁ゆえ、我が物とならぬならいっそすべて滅んでしまえ、と了見されたとしても不思議はない」
メルショルはそのせりふを聞いた瞬間、こめかみを殴りつけられたかのような衝撃をおぼえた。王たるものがさような存念のために和睦を邪魔立てし、戦を長引かせようとしていたのか――。
それから、逆は自分の仲間や連絡方法、その他洗いざらいを吐いた。
鬼ですら、人間の生み出した拷問、尋問の術には逆らえない、そこには人という存在の恐ろしさを見た心地がメルショルにはした。
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