第68話
「いいえ、理解できません」とメルショルは首を横にふった、そして最初から説明のやり直しを求める。とたん、天使はあっけにとられた顔つきとなる。力ずくで他の浄土、地獄をしたがえてきた天使は武辺一辺倒らしくあきらかに他者との“対話”にはなれていないことがうかがえる。
その隙に、メルショルは千代女に今までの会話の流れを告げる。
「よくやったわ」と千代女は褒めてくれた。
こちらの話が終わるのを見計らって、やや憮然としながら天使はふたたび切支丹の魂と彼岸を巡る歴史についての知識を披露する。
だが、メルショルの返答は先ほどと同じく「理解できません」だった。声色すらも寸分違わず同じだ。
ここまでで一刻ほどの時間が経過している。
「ところで、仮にですがもしこの戦に勝つことができねば、日の本の切支丹の魂は天国の手の届かぬ場所に永遠に置かれることになります。それに比べれば、切支丹の魂だけでも天国の領分とするほうが得策だとは思われませぬか」
メルショルはあくまで友好的な態度でより悪い条件と、それよりましな条件を提示する手管をもちいる。
二度の長い説明でうんざりとしたところに告げられ、相手の天使も思案げな顔をした。
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