第67話

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「和睦はむずかしかろう」

 フェヌエルから聞き出した、大将のなかでも穏健派の天使は顔をしかめた。目通りが許されたことから、もしかすると、と期待を抱いていただけにメルショルは内心で落胆を隠せない。

 相手に警戒感を抱かせないよう、同行しているのは千代女のみで相手の天使の対面にメルショルと同じく椅子に腰をおろしている。

「天帝にしたがわぬ者どもがおる、というのも問題だがそれ以上に切支丹の魂(アニマ)が責めにあっておるというのにこれを捨て置くことはできぬ」

「では、もし切支丹の魂の取り扱いは南蛮側に預けるとなれば?」

 天使にメルショルは問いかけた。これは千代女の意見ではなく、メルショル自身の意見だ。「もしも」という言葉を使ってこちらに都合のいい取り計らいを引き出す、これは道鬼斎に習った交渉術の手管のひとつだ。

 実は旅の途上で、「おぬしも知っておいては損はない。いや、むしろ身につけてもらってくれていたほうがありがたい」といって半ば無理やりに伝授してきた。

「なれど、南蛮はこれまでも切支丹の魂が我らの領域でない彼岸に落ちたときはこれを攻め取ってきた」

 そういって、天使はいくつか例をあげた。その末に、「どうだ、理解できたか」と彼は首肯以外を期待していない表情でたずねた。

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