第51話
「妾たちのなかに間者がいるやもしれないわね」
千代女が顔は淡く笑わせながらも発した一言は限りなく剣呑だ。
「事由は」
「妾を襲った伸ばした髪をあやつる鬼と、その仲間一匹。そして、もう一方の鬼たちは茨木童子を同時に襲う。両端の部屋が頭数の少ないことを見越した上で、着実に始末して人数の多い部屋に当たろうとした、曲者の動きはさように読める」
勘助の問いかけに千代女はおだやかに応じる。だが、すでに両者のまなざしは誰が間者か疑り深く周囲を探るように光った、そんなふうにメルショルの目には映った。
強大な敵である南蛮浄土、肚のうちでは和睦を望んでいるかも定かではない十王の交渉という難事の上に、もしかすると“味方”から狙われる、しかも仲間内には内通者がいるかもしれない、そんな状況を悟ってメルショルは肌が粟立つ感覚に襲われる。
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