第46話
「よう動きおるわ」
我が名は氷雨(ひさめ)と鬼が名乗りながら嬉しげな笑みを浮かべる。
善鬼が一閃を送るが、察知して機敏に反応した。氷雨の一撃は払いのけられたため、善鬼の腕は凍りつかずに済んだ。
道鬼斎も攻撃の機をうかがうが、かえって善鬼の邪魔となるのを恐れて手出しできない。
そうこうしているうちに攻防のなかでも移動で、人間全員が縁側のほうへと移動している。
「道鬼斎、土塁を天井との間に隙間ができるように敵の前に」
真っ先に庭に飛び出しながら岩布はとうに発砲の準備を終えていた。
みなが外へと躍り出、「承知」の声とともに道鬼斎が土塁を床を突き破らせて相手との間に生じさせる。
転瞬、岩布が銃口を土塁の隙間を狙うように定め引金を絞った。
銃声。ただし轟音は一度で終わらない。銃丸が隙間から飛び込んだと思ったらそこで爆発を起こしたのだ。土塁が崩壊し、炎が屋根を突き破って躍った。
「おいらの鬼道は火之迦具土(ひのかぐつち)、銃丸を爆発する弾に変えられるのさ」
みなの前でおのれの鬼道を初めて披露した岩布がやや自慢げに告げる。
「勝負は終わってねえぞ、最低でもまだ毒飼いの野郎がいやがる」
「いや、勝負は既についた」
善鬼が険しい顔をして注意したが、それに応じたのは先ほどの隣の部屋からの声だった。
とたんに、メルショルたちは一斉に体をふらつかせひざをつき、あるいは尻もちをつくこととなる。
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