据え膳食わぬは……

 今、この場で結婚。その言葉が意味するところはさすがの俺にもわかる。

 それはつまり、俺と志帆がエッチするということで……。子供だってできてしまうかもしれない。


 手を伸ばせば、志帆の身体は届く距離にある。その胸をまさぐり、押し倒して俺のものにすることだってできてしまう。


 それは志帆が望んでいることだった。

 そうすれば、志帆はアイドルという立場から完全に解放される。ポートマンさんはともかく、俺の父はこの結婚に賛成のようでもある。


 このことが知られれば、世間は志帆の不祥事だとして糾弾するかもしれない。

 だから、以前に俺は志帆の恋人のフリをすることを断わった。けれど、今の志帆はは本気だ。


 そして、俺は健全な男子高校生だから、こんな可愛い女の子に迫られて嬉しくないはずがない。

 なにせ彼女は国民的アイドルだ。


 俺はフリーズしてしまう。


「ねえ、兄さん。ダメ、ですか?」


「ダメってわけじゃないけどね。だけど、心の準備ができていなくて……」


「あたし、ここで兄さんに断られたら、泣いちゃいます」


 冗談めかしていたが、その目は真剣だった。たしかに女の子にここまで言わせて、俺が拒否すれば恥をかかせるようなものだ。


 俺は追い詰められていた。同時に志帆が欲しいとも感じてしまう。

 ただの妹でもなくて、政略結婚の相手でもなくて、一人の女の子として志帆を自分の物にしたいと思ってしまった。


 ポートマンさんへの裏切りになるとしても、世間がそれを許さなくても、そんなことはどうでもいい。

 

 ただ……。


「志帆は本当に俺とそういうことしたい?」


「……し、したいに決まっています! だから、こうしてここに、こんな格好で来ているんです」


 志帆のネグリジェはすけすけで胸の谷間も露わなものだ。下半身の丈が短すぎて白い太ももも見えていて、白いショーツも透けて見える。

 こんなふうに誘惑されたら、大抵の男は抗えない。


「志帆って意外とエッチな子だったんだ?」


「か、からかわないでください。これでも恥ずかしいんですから……」


 志帆が俺に抱かれてもいいと思っているのは嘘ではないだろう。

 だけど、と俺は思う。


「志帆はさ、普通の女の子として生きたいんだよね?」


「は、はい。そうですけど……」


「こんな形でエッチなことをするのは普通の女の子じゃないよ」


「それは……」


「志帆の事情が、そして俺の家の事情が複雑だから、俺たちは普通ではいられない。だから志帆はこんなことをして、無理やりアイドルをやめようとしている。でも、それで本当に良いとは思えないよ。今の志帆、震えているし」


 俺の言葉にはっとした表情を志帆がする。志帆は内心、怯えているのだ。

 軽く腕と足が震えている。


「違うんです。兄さん。これは……」


 俺は志帆の頬をそっと撫でる。


「無理をしなくてもいいんじゃないかな。それに俺を信じてよ。俺はポートマンさんを説得してみせる。そうすれば、こんな形でエッチなことをしなくてもいいだろうから」


「兄さんは、あたしと……したくないんですか?」


「まさか。今すぐにでも襲いたくて仕方ないよ。数秒後には気が変わっているかも」


「なら……」


「だけど、志帆が本当にそういうことをしたいと思った時に俺は志帆とエッチなことをしたい。志帆は大事な妹だから」


 俺は志帆を大事にしたい。こんなところで焦って、急いで、志帆を傷つけかねない形で志帆の初めてを奪いたくない。


 志帆はむうっと頬を膨らませる。


「あたしは本気だったのに。処女を兄さんに上げてもいいと思ってたのに」


「俺たちは婚約者だから、いずれ結婚するし、子供だって作るよ。そのときまで志帆の処女は大事に取っておくよ」


「兄さん、言い方がいやらしいです」


「志帆が言い出したことだからね!?」






<あとがき>


志帆が可愛いと思ったら……

☆☆☆

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完璧美人のエリート警察官僚上司が、家では俺を大好きな甘デレ幼馴染だった

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