第45話 潜入オヤナ村
スナミは一部始終を村の近くの森の中で見ていた。
「ドゲム様の眷属ガーゴイルが、ここであった事を報告する為に魔王城に戻って行った」
プリシラに会う為にスナミはオヤナ村まで来ていたが、姫が不在なのがわかり姫が村に帰ってくるまで森の中に居ようと思っていた。
数日待っても帰って来ないので、もうプリシラは既に村を出て行ってしまったのではないかとスナミは思った。
村人に聞くわけにもいかず、時間だけが森の中で過ぎていった。
だが迷っている時間はもう無い。危険を冒しても村人に接触し村の危機を伝えて、プリシラの事も確認すべきだと決心した。
気付かれないように空中から村に下りて普通の人間のように話しかければ大丈夫かもしれない。
なんとなくそう思ったスナミは村人がいないポイントに空中から着地する。
村人にプリシラ姫がどこに行ったのか聞いて回ったが、よくわからないと言われた。
村人たちは、村で見たこともない変な格好の女が歩いていると村長にすぐ知らせた。
そして村長と勇者がスナミの元に飛んでくるのだった。
勇者はスナミを指さして「おい。そこの女。神妙にしろ」
「え?あ、はい」
スナミは敵意のない事をアピールする為に手を上げるが、羽が広がり余計に怪しくなってしまう。
「村長、こいつは魔族だ。もう既に魔族は村の中に入り込んでいたんだ」
二人の緊張感をよそに、スナミは「プリシラ姫を知りませんか?」
それを聞いた村長は「プリシラ?あんたあの娘の知り合いなのか?」
「はい。まだこの村にいるんですか姫は?」
「おい村長。こいつがホントに姉ちゃんの知り合いかなんて分からないぞ。姉ちゃんを狙ってる魔族かもしれない。お縄を頂戴しろ女魔族」
勇者は持っていた縄でスナミの体をグルグル巻きにする。
「おい。おちつけ勇者。この娘、敵意はなさそうだぞ」
スナミの羽をよく見た村長は「おや?」
ポケットから出した羽をスナミの羽に合わせてみる。
「これはピッタリだ。もしかしてプリシラを村まで運んで来たのはあなたではないのか?」
「はい。そうです」
村長達の周りに何事かと村人が集まってくる。
帝国兵の胴鎧を着た若者が人の輪をかき分け村長達の元に来る。
「一体どうしたんだこれは?」
縄で縛られているスナミを見た若者は「あっ。スナミさん」
「あなたはシンペーさん」
「誰だ?スナミさんを縛った奴は?」
「ああ。縛ったのは俺だけど」
シンペーは勇者の頭を殴る。
「痛て。なにすんだよ兄ちゃん」
「このお方は魔王様の秘書で、トンネル攻略の立役者のスナミさんだぞ。それに帝国兵士達のアイドルでもある。何かあったらお前は帝国兵士に殺されるぞ勇者。その縄を直ぐにほどけ」
わめくシンペーを横目で見ながら勇者は「俺は良かれと思ってやったんだけどな」と言いながらスナミを縛っている縄をほどく。
「あ、そうです皆さん。この村を探っていたガーゴイルが魔王城に帰って行きました。恐らく近いうちに魔族の集団がここを攻撃に来るでしょう」
「あれ?俺がさっきサンダーフレイムで一匹倒したけどな」
「その様子を崖上から見ていたガーゴイルがもう一匹いたのです」
すると村長は「本当なのか?なんであなたには分かったんだ?そしてこの村にはどうやって入ってきた?」
スナミは額の眼の能力の事を明かした。
そしてシンペーが、その能力でトンネル攻略がスムーズに進んだことも話した。
「なんでも見える能力か。凄いな。あなたが敵ではなくて良かったよ」
村長は少し考えて
「そうだあなたが魔族なら魔王の事も聞きたい。魔王が第二皇女ミリアを監禁してるという記事があったが、あれについては何か知らないか?」
スナミは悲しそうに下を向く。
「魔王様はそれを調べる為に魔王城に向かっている途中で、強力なレーザー兵器が命中して森に落ちました。今は回復中で何も出来ない状態です。そして魔界では新しい魔王が誕生しているのでしょう」
村長は額を手のひらで覆う
「やはり魔王ファザリスは皇女の誘拐を知らなかったのか。わしの悪い予感が的中していく。この村だけではなく、大陸全ての人間が危うい状態にあるようだ」
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