第32話 ダルトンの拷問
早朝になり少しづつ体が動くようになってきたダルトンは、死体置き場から横に転がるようにして少しづつ離れて行った。死体置き場に来るのは、死体を捨てに来る兵士だけで普段はひと気がなかったので、壁の前にある木の裏に隠れる事ができれば見つかる事は無い。激痛で意識が遠のくが、ここは我慢して、なんとしてもあの木の裏まで辿り着かねばならない。やっとの思いで目的地に辿り着いたダルトンは、安堵で深い眠りに落ちた。
それから数日後にダルトンの体は動けるまで回復する。
あれだけ体がぐちゃぐちゃだったのに元に戻るとは、あの魔族は凄い奴だな。いやいや、あいつにも俺は復讐するのだ。もし手枷が偶然外れていなかったら、俺は終わることが無い酷い拷問を喰らい続けるところだったんだからな。
身震いするダルトン。
しかし何も食べていないせいかダルトンの体はかなり痩せこけて、足元がふらついている。
「こんな体であの拷問狂と差しで負けたら、また拷問の日々じゃねえか。くそ、しかしこのまま逃げる気にはならねえ」
とりあえず兵士に見つからないように拷問施設を張ってハリーが現れるのを待つ。
「よし来たぞ」
料理を盛った複数の皿をプレートに乗せ、それを持ちながらハリーが施設に入っていく。
あいつ料理を食いながら拷問してたのか?ふざけやがって。どうりで食い物の匂いが部屋中充満してると思ったぜ。あの料理を俺が頂いて、あいつに拷問を敢行するのだ。兵士がいないのを確認し、ダルトンはふら付く足取りで施設に入る。
拷問室は3室あるのか。どれがハリーの部屋だ?
廊下を歩き、1番手前の鉄扉に耳を当ててみるが、特に何も聞こえない。2番目の鉄扉に耳を付ける。ハリーの声だ。また誰かを拷問してるようだ。
鉄扉を少しづつ開けると古く錆びてるようでギギギギと音が鳴る。
糞、ばれるじゃねーか。
鉄扉の間から中を見ようとする。
すると、眼に鋭い痛みが。
「痛え、何だ?」
ダルトンの片眼にメスが刺さっている。
「誰ですか?私の神聖な部屋をのぞき見してるのは?」
「ぶっ殺す」
それまで慎重にしていたダルトンは、怒りで我を忘れ、扉を思い切り蹴り中に突入する。
ハリーはダルトンの姿を見て歓喜する。
「生きてた僕の思い人」
ダルトンはハリーを倒し、馬乗りで夢中で殴る。
気が付くとハリーは伸びていた。
「ふー腐ってもダルトン様だぜ、こんなに慎重にする必要は無かったな」
立ち上がり眼からメスを抜いて捨てる。目の前の寝台には、若い女が拘束されていた。
よかったな俺が居て、誰だか知らねえが助けてやる。この拷問狂にやられたらもう再起不能だ。
女の手足の拘束具を外す。
金髪ウェーブの若い女は「助かりましたわ。あなたのお名前は?」
「ダルトンだ」
「この御礼はさせてもらいますわ。もしまたお会い出来たらですけどね」
部屋から出て行く。
「ずいぶん気の早い娘だな。場違いな言葉遣いしやがって」
そして伸びてるハリーの方を向くダルトン。
「しかし、お前とはたっぷり遊べそうだ」
ハリーの手足に拘束具をつける。
「よしこれで、こいつは動けないな。それじゃあ久しぶりの飯にするか」
ハリーの持ってきたプレートに乗ってる料理を直ぐに平らげる。
「これじゃあ足りないがまあしょうがねえ」
拷問ラックを見たダルトンは「さあ何から始めようかな。俺がされたことを順番にしていこう。こいつはどこで音を上げるかな?」
拷問ラックから鞭を取り、振るうがハリーに当たらない。
「意外と難しいな」
何度が練習してみる。引くようにして先の方を当てれば威力が高いようだ。もう一度、ハリー目掛けて正確に狙って鞭を振るう。鞭の先が当たるとハリーは驚いて飛び起きた。
「痛い」
ハリーは、自分の腕や足が拘束されていることに気が付くと
「何で僕が拘束されてるんだ?ダルトンくん何をしてる?それは僕がする事だろう?」
「全く、ずれたことを言いやがって」
ハリーに鞭を何発か当てると
「痛いやめてくれ。僕は兄の復讐をしたかっただけなんだ。君が僕を拷問する理由はない」
ダルトンはハリーを睨みつけ「お前は鞭打ちの後に塩を塗り込んでくれたな」
「やめてくれ。今日の料理はゆで卵が無いので塩は持ってきていないんだ」
「じゃあ次は爪はがしと行こうか」
「やめてくれ頼む」
「お前はなんの躊躇もなく俺に拷問していた。おそらくほかの奴にも。自分も同じことをされる覚悟がなければ駄目なんじゃあないのか?」
爪を剥がす装置を取り出し「人の痛みを知るべきだなハリー君よ」
「やめて、痛いのは駄目なんだ頼む」
ダルトンは爪を剥がす装置をハリーの爪にセットしようとするが
「駄目だ、どうやって使うのか全然わからねえ。ペンチでいいか」
机の上のペンチを取り、爪を挟んて剥がそうとする。
「痛い、やめてくれ。痛いのは駄目なんだほんとに」
爪を剥がすとハリーのズボンが濡れ、頭がだらんと下に落ちる。失禁して失神したようだ。
ペンチを床に投げるダルトン「こんな陰湿なのは俺の趣味じゃねえ」
ハリーを見て「一思いに殺してやるか。いや駄目だ」
拷問前にハリーが、神の罰だと言っていた事が妙にダルトンの頭に引っ掛かっていた。
俺がもしこいつを殺したら、また何か恐ろしい事が俺に起きるような気がする。
「もういいや、こいつも少しは人の痛みがわかっただろう」
兵士がいない事を確認して外に出ていくダルトン。
「後はあの魔族だな。正直何もできずに返り討ちにあいそうな気もするが、奴にも一矢報いないと気が済まねえ」
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