第36話

2025年 8月 5日


今、深刻な状況に陥っている。

オジサンの体調が悪くて先行きがヤバいと云う事である。

35回も放射線照射を受けたにもかかわらず また新たに同じ部位が腫れてきて

少々パニック状態になっているのだ。

実際には、新たに腫れ出したのが癌なのかどうかは25日のCTや内視鏡検査を経て、9月2日の見解を待つしかないのだが、7月1日に退院してから今日まで4回の胸部圧迫に襲われ深呼吸が出来ない状態になった。

3回目までは10分から15分程度で治まっていたものが 4回目は発作が長く2時間程続いた。 病院に連絡して急遽駆け付けるも このころには症状が落ち着いていた事もあり時間外も考慮して検査は8月4日に持ち越された。 無論、事態が悪化した場合は救急搬送してもらう様に言われた。

で、4日の検診では採血で11本もの血を抜かれ (貧血気味の私ならこれだけで倒れる)  幸い肝臓に異常は見つからなかったが 胆石が結構な数ゴロゴロあって

これが入口か出口に引っかかって横隔膜を圧迫して息苦しくなるのでは?と云う見解だったが、29日にMRIの追加検査を受ける事に。思い返してみると、オジサンが呼吸困難を訴えるのは決まってトイレの後であるから関連性は非常に高い……かな?


それにしても……次から次へと…… 

超合金メンタルの私もさすがにへこたれそうになり、オジサンの介護もある事だし

いっそ仕事を辞めようとまで考えた。仕事は私の生き甲斐であるのにだ。

また いつ発作が起きるか分からない状態でひたすら29日まで待たなくてはならない不都合と歯がゆさ。 それで、仕事の穴をあける事が辛かったのでいっそ辞めてしまおうとネガティブになってしまった。

私が休めばパートナーを組んでいる二人に負担をかけてしまう。

オジサンに癌が見つかった時点で事務長のOさんには事情を説明して この先不測の事態がおきた時、迷惑をかけるので今のうちに一人か二人雇い入れてもらえないかと直談判したが、Oさんの答えは「たった週二日の事でしょ」と云うもの。

本来ならば二人態勢でやる仕事を一人に丸投げしてる事を恬として恥じる様子もない。 ただでさえ、私のいない週5日を一人でこなしているんだよ!これって不当だからね‼ 週5日一人なんだから後二日くらい、と考えているとしたら本当にこの会社どうなってるんだ‼ いっそ、実名を出してやろうかって思う時もある。

そんなこんなで3日間悩んだが結局、しばらく様子見と決めた。

どの道9月2日の結果次第ではどっちに向くか知れないのだから。


そんなにしてまで何故働くか?

繰り返しになるが、働く事は私のライフワーク。答えはこれに尽きる。

毎日オジサンの様子を伺いながらの生活はそれこそとても息苦しい。

何とか食べてもらおうと手を変え品を変えやってはいるが ことごとく拒絶されると

解ってはいるがつい腹を立ててしまう。未熟なのは解っている。

話は飛ぶが……未熟で出来損ないの母親を持った子供たちには本当にすまないと思っている。 だから出来るだけ迷惑をかけたくないのだが、甘やかされて育ったオジサンの考え方はそれこそチョット甘い。 いざとなったらきっと長男か長女が引き受けてくれると云うものだがどの口が言いやがる……

私にしてみれば、現実的、俯瞰的に見て一番頼りになりそうなのは次男の嫁さんである。

長男は優しいし力にはなってくれるだろうが、現在別居中で先行き不透明だ。長女はもっと優しいがそんな重荷を背負れる程の度量はない。次男の嫁さんはおおらかで親切でキチンとしている。 だからと云ってなし崩し的に縋ろうとは爪の先ほども思わぬが。

この家の孫とは同じ町内に住んでいたころ手をつないで大声で歌いながら歩いたものだ。 この孫が最近英語に興味を持って 会うたび「ハロー……なんちゃら」と言ってくる。 いつでも答えられる様に孫の言いそうな動物を思い浮かべていたら

「キリン」は英語で何だっけ?と、ドボン問題の様な簡単な罠に引っかかり思い出すまで丸々一日かかった。検索すれば秒だが抵抗し続けた。勝ったぞ!

それにしても……まさか鼻にも引っかけない様な「キリン」で引っかかるとは……

    それこそ オーマイガー!……




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