第33話
2025年 5月 21日
今時ルッキズムをテーマにするとあらゆる方向から色んな物が飛んできそうなので
できれば避けて通りたいところだが、先日ものすごいフォルムの男性を見かけて
思わず見入ってしまったので ここは是非書いておきたい。
ここのところ週4~5でオジサンの入院している病院に通っているので 通りすがりの方の人数も今まで以上にに多い。
気になった男性は、身長165センチくらいで全体が丸い。勿論、体形に合ったまんまる顔で一目で無精ひげと分かるソレを蓄えていた。
私が驚いて二度見三度見したのは男性のお腹である。 世の中 お腹の出っ張った人
は数多いると思うが、彼の場合ビヤダルがお腹にスッポリはまった感じだった。
これ以上ないと云ったサイズのTシャツを着ていたが カバーしきれず腹だけ露出した無残な状態……… 一瞬プーさんか?と思ったがプーさんどころじゃない。
プーさんなら可愛いからまだしも…… 一旦座ったら立つのは容易じゃなさそうだ。彼はおそらく自分の足元を見る事はできないだろうなぁ………
私も双子を妊娠していた時は前屈みが困難だったから。 そうかと思えば、病院では紙切れの様なぺったんこ体形も見かけたりする。
若い女性のストロー体形は痛々しいばかりだから たまに若いポッチャリさんを見かけると妙に安心したりする。
20数年前 横浜の百貨店に勤務していた時、対面のブロックに海苔と佃煮のメーカーがひしめいていたのだが、24歳のミュージシャン崩れの男がバイトで配属されてきた。この男が、自分のルックスを棚に上げ大のポッチャリ嫌い。奴のいた海苔売場にポッチャリ体形の美人さんがいたのだが、奴は言うに事欠いて「もう少し瘦せたら付き合ってやってもいーけどね」って………ホント、殴ってやろうか‼って本気で思った。それでも百貨店は女の世界なので、あんな奴でもそこそこモテていたから調子づいていたな。 当時はまだ存在していたエレベーターガールを引っかけて得意になっていたが、奴は戦利品を手にしたとたん 興味の対象は変わる。
化粧品メーカーの気の強そうなスレンダー美人にちょっかい出して、「彼女既婚者だよ」と、たしなめる私に 「関係ないね!別れてくれたらチャンスが巡ってくる」と、宣ってたっけ。 「ストーカー」と云う言葉がまだ確立されていない時代の話だが
今頃どこでどうしているんだろう…話が芸人並みに面白かったからモテていたんだよね。その部分では私も随分笑い転げた。 お顔はね………花子さんの旦那様にそっくりだった。
ただ、高身長(180センチ超え)だったと云うだけ。
やはりこの時期だが、私にはもう一人忘れられない人がいる。
通称「ヨコハマのメリーさん」その人である。
私が最初メリーさんと遭遇したのは結婚して間もなくの頃だから、この時期より14~5年前まで遡る。 義母のお供で買い物を済ませ、1階の「京樽」に立ち寄りプラス晩御飯を選んでいると ふいに義母が私の腕を引っ張った。私には訳が分からなかったのだが、私の隣りに立ってあれこれ選んでいたのがメリーさんだった。
私の腕を引っ張った義母は顔を歪めて「キタナイから」と言った。
いや、確かに顔は真っ白だし派手なコスチュームだけど………
キャバクラ出身の私にしてみれば別にどうって事ない。 さすがに真っ白顔はいなかったけどオバケメイクは沢山いたし、メリーさんが着ていた衣装はギャルのハシリと言ってもいいくらいだ。 義母は売春婦と言っていたのだがメリーさんにはメリーさんの事情があっての事である。 戦争が悪いんだよ‼
それから十数年後、縁あって私はメリーさんが出没する百貨店で働く事になり、週に一度くらいは見かけていたと思う。メリーさんは初めて出会った頃より格段に老いて足元も覚束ない様子だったが、それでも常に5センチヒールを履いていたのが印象的である。メリーさんお気に入りの「京樽」で偶然顔を合わせる事もあり、ひと言ふた言話した事もあるがミルキーボイスだったと記憶している。
それから数年後、メリーさんの姿は見かけなくなった。
めっきり身体が弱り、弟さんが面倒を見ていると風の噂できき、亡くなったと聞いたのは暫くのちの事である。
メリーさんは幸せだったのだろうか…
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