第27話 戦争の始まり
共和国の侵略行為を受けて、王宮では要人の緊急呼集が行われた。
王を中心に円卓会議が行われる。
その中に女性王族の姿は無い。
戦争はあくまでも男性主体で行われる。
騎士団、軍、警察、国境警備隊が戦争の核であった。
この中にヴァルキリー隊は入っていない。
ヴァルキリー隊はあくまでも女性王族の護衛でしかない。
そして、当然ながら、女性王族もこの事態に関しては蚊帳の外であった。
状況は独自の情報網から得られている。
共和国軍の戦力は王国をかなり上回っていた。
すでに国境は超えられ、国境付近の村や街は制圧されている。
国境付近に配備した王国軍の多くは後退を余儀なくされているそうだ。
「第3、第4国境警備隊は壊滅。陸軍第3師団も全滅。現在は第112旅団が引き継いで、敵の攻勢を凌いでいます」
「騎士団の動きは?」
アニエスはカップを手に取りながら尋ねる。
「現在、第4騎士団が前線に向かっています。他は現状維持」
「そう・・・情報収集は徹底しなさい。ヴァルキリー隊は常に臨戦態勢」
「了解しました」
ヴァルキリー隊は臨戦態勢に入っていた。
全ヴァルキリーは完全待機と入り、休日は無くなった。
ヴァルキリーは第一種体制となり、実弾が配布される
メイド服の上から弾薬ポーチが装着されたベストを着用する
常に鉄兜を被っている。
いつ、出動が命じられても良い状態であった。
誰もが不安だった。
実戦を経験した事のあるヴァルキリーなど数少ない。
ヴァルキリーが戦闘になるケースは最悪の場合だ。
王都が戦場にならない限り、彼女達が戦闘する可能性は無い。
それでも過去の戦争においては幾度か彼女達は戦闘に参加している。
それは伝説として語り継がれる程であった。
メアリは予備役に入った1号戦車の整備をしていた。
整備は基本的に馬や馬車の整備を行う厩務員の役割であった。
厩務員は自動車が導入された時から機械関係も取り扱う事になり、それまで馬車を扱っていた部署が戦車や装甲車も扱っている。
全体として厩務員となっているが、機械専門の者を機械整備員と呼ぶ。
その為、すでに1号戦車の乗組員から外されたメアリが整備するのは本来、あり得ない事でもあった。
予備役とされた1号戦車ではあるが、常に動けるように維持する事が命じられており、いつでも動かせる状態であった。
機械整備員のファルはメイドとは掛け離れたツナギ服を着ている。
彼女はメアリに1号戦車の整備のイロハを教えていた。
「うちらの手が届かない最前線だと、こいつらはあんた達が整備しないとすぐに動かなくなるからな」
ファルはメアリに怒鳴りながら、教え込む。
「でも、すでに予備役に入ったこいつを最前線まで持って行くのですかね?」
メアリは砲塔の上で汗びっしょりになりながら言う。
「うちらが知るわけねぇよ。上からは全ての武器を使えるようにしろってね」
「私もこれを動かせるのは限られたヤツしかないから、行けって言われたけど」
正直、メアリはこれに乗りたいとは思っていない。装甲車の快適さを覚えるとこれは地獄でしかないからだ。
振動は酷い上に操作性は最悪、音も酷くて、ヘッドフォン越しでも音が煩い。
そもそも、速度が遅い上に装甲は装甲車並。火力も左程じゃない。
走る棺桶と言ってやりたいぐらいだ。
そこにサラ隊長がやって来た。
「整備は覚えたか?」
「今、やっている所であります」
「野戦になれば、整備の手を借りれないからな。全て、自分でやれるようにしろ」
「了。しかしながら、メイド服ではエンジン回りや下回りを扱い難いです」
「お前・・・まだ、メイド服なのか?乗馬服はどうした?」
「サイズが無いの一点張りで受領してません」
「備品管理め・・・とりあえず、頭に叩き込んでおけ」
「了。それで・・・我々はまた、こいつに転属ですか?」
「そうだな。装甲車は比較的、短い訓練期間で人員が確保が出来る。こいつはお前らみたいに慣らしたヤツじゃないと動きもしないからな」
それを聞いたメアリは真っ青になる。
「この棺桶に足を突っ込む事になるのですね」
「棺桶とは何だ。それに何やら、臨時改装がされるそうだ」
「改装ですか?」
それはファルも初耳だった。
「あぁ・・・機関砲を大砲に変えて、対戦車能力を持たせるそうだ」
「対戦車能力?」
「これからは戦車同士の戦いもあり得ると言う事から、軍の方で保管されていた速射砲搭載型砲塔が届く。それに砲塔を交換させるんだ」
サラがそう言った時、数台のトラックが到着した。
エプロンを着た兵士 三八式物書機 @Mpochi
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