書籍版から入ってきたため第33話までの感想です。
まるで「有名店シェフのまかないがウマい」みたいな、定期連載のライブ感が見どころです。
反面、現代的な「考察」の余地は薄いかも。考えてもしょうがない、というか。
状況説明にムダがなく、かつ問題を抱え込まないため、
読み味がスカッとしていて一話ずつの長さも感じずに一気読みできます。
アニメの脚本家でもある賀東先生ならでは、でしょうか?
ただ、思わせぶりな用語や今後ありうるシチュエーションの匂わせを散りばめられても、いま・ここで回収されない伏線にはモヤッとします。
そんな「謎」の正体が明かされる後半部分で、そもそも何故主人公は巨大ロボットへ転生したのかという疑問に突き当たりますが。
意外と、物語を書く方にも読む方にも便利、という気がしました。
カメラやマイクがある限り、味方サイドの話も「出歯亀(笑)」できますし、
近未来SFアニメっぽい世界に現代人が入り込んで独り言をぼやく、という「ずらし」がいい意味で転生モノらしいと感じます。
最後に感想として残したいのは、「ロボット戦闘が魅力的!」という事です。
「どこから敵が来て」「いかにして勝つか」がイメージしやすいように、レイダスは軍用機らしく端的に戦況を伝え、それに応じたジンのアクションが又レイダスに伝わって敵を打ち砕く、という。
あくまでもレイダスとそのコックピットの視点のまま、
ともすれば理解不能になりがちな巨大ロボット同士の戦闘を、
過不足なく「実況」できている点が見事でした。
書籍版発売おめでとうございます!!
それにしても……いやあ、凄い時代ですね。一ファンがこうして馴れ馴れしく憧れの先生にコメントを送れるなんて。
本作品は『えっちなアル×主人公になった風間が織りなすドタバタSF超大作!!』……と言えば先生の既ファン諸兄氏であればわかりみ深いかと。
ストーリーは何のとは言いませんが『1st』の影響が色濃く、恐らくは同年代の他作品もモチーフにされているのだと思います。逆に〇ヴァ要素は今の所冒頭だけです(よね……?)。
では古臭いかと言うと全然そんな事は無く、ある種の情報生命体の域にまで進化し、現実で言う所のフォロワー数、つまり影響力によって決定される独特の階層構造を持つ火星人類が敵勢力であったり、旧文明を壊滅させた物騒なコンピューターウイルスが存在していたりと、ロボットや宇宙船以外にもSFファンならワクワクするギミックが満載です。
なお、味方のキャラクター達には殆どプライバシーがありません。
えっちなアルこと主人公の『レイダス』が、事実上無制限に盗撮・盗聴出来てしまうので。
……いいのかそれで。
コメディとシリアス、宇宙にロボットという浪漫、古き良きと新しさ……この作品には、全ての面白さが詰まっています。
主人公は「人型機動兵器の超高性能AIに転生した」存在。そして青臭いところのある少年パイロット・ジンと出会い、彼をサポートしながら広大にして過酷な宇宙戦を切り抜けていく……本気で面白いです。
とにかく人型機動兵器〈レイダス〉に転生した主人公の、地の文でも表現される心の声が秀逸すぎる。ボケとツッコミを面白おかしくこなしつつ、それでいて転生前の「現代人の感覚」を保っているので共感がしやすく、かつ据え置きの効率重視AIに逆らう人間味を持ち合わせている。
笑いと格好良さを兼ね備える魅力、そんな主人公の一人称視点で進んでいく物語、最高なのですよ……!
最初は青臭さや未熟さのあったパイロット・ジンくんも、主人公のサポートに促されるようにどんどん成長していくのも快感。機動兵器の高性能AIというポジション、特等席すぎる……めっちゃ楽しい……!
そしてストーリーに華を添えるヒロインの存在、本当に流石と思わせられる魅力。
太ももが眩しい少女アビーさんや、大人の魅力のエメルさん、ミステリアスな魅力の(強火な自爆願望★)ネイさん。誰もが多種多様かつ個性的で、その魅力を〈レイダス〉INの主人公が癖たっぷりに面白く語ってくれて楽しいです。
そんな中、個人的な推しは艦長(代理)のサミーナ・リム少尉。ポンコツさが逆に愛らしく、良すぎるビジュアルも相まって、際立って光り輝いていると感じます……一見、一見の価値アリと、強く主張します……!
古き良き宇宙ロボットものに、転生という新しい要素も見事に合致させ、きっとどの世代にも広く合致し得ると思う見事な構成。
コメディもシリアスも、浪漫を感じる宇宙戦闘も見応え抜群。
心からおすすめ致します……是非ともご一読を――!
異世界転生ものと聞いて、「ああ、JRPGを思わせる世界観で繰り広げられるファンタジーものだろう」と答える人が多いだろう。
しかし、そこは『フルメタル・パニック!』シリーズの作者の腕の見せどころだ。
はっきり言おう。これはごくありふれた異世界転生ファンタジーではない。
現代を生きていたサラリーマンが交通事故に遭って、目が覚めた先は遠い未来世界だった。
しかも、そのサラリーマンは機動兵器に転生していた!
その機動兵器に14~15歳の少年が乗り込んで……、となると、あとは1970年代後半から1980年代に流行したロボットアニメのお約束の展開が待ち受けている。
えっ? どこかで見たかな? それは言わないお約束だぞ!
テンプレバリバリの話だけど、面白いからいつの間にか読むのがやめられなくなる。
ベテラン作家の犯行を是非ともご賞味あれ!
「一見すると」使い古されたシチュエーションで手が伸びづらいかもしれない。
「今のところ」設定も目新しいとは言いづらく、展開もありきたりと言っていい。
しかし、それならつまらないかというとまるで違う。
転生した主人公が内心で入れるボケ・突っ込み・ロマンティズムが適度かつ適切なタイミングで入ってくるので、読んでいて非常にテンポがいい。
また、先ほど目新しくないと言ったシチュエーションや設定も含みある書き方がされており、なにがしかの仕掛けが感じさせられる。
つまり、今(9話時点)であっても読んでいて楽しいし、この先も楽しいであろうことが十分に期待できる。
願わくば古きロボットアニメの悪しき点(=打ち切りで伏線未回収のまま完結)まで踏襲されませぬよう・・・。